「今、あなたの財産はいくらありますか?」

こう聞かれて、正直わからない人が多いと思います。

    • 「銀行口座に300万円くらいあるから、それくらい?」
    • 貯金はある。でも、証券口座にもお金がある。
    • そういえば、車のローンもまだ残っている。
    • クレジットカードの引き落としも、来月だったな……。
    • 「あれ? 結局、自分にはいくらあるんだ?」

毎月の出入りは把握していたのに、今いくら持っているかは分かっていなかった。

そういう人は、少なくありません。

家計簿は、毎月のお金の流れを教えてくれます。

一方、財産の一覧表(バランスシート)は、今の自分がどれだけの財産を持っているかを教えてくれます。

行きたい場所が決まったら、次に必要なのは、今どこにいるかを知ることです。

→ 前の記事「価値観マップの作り方。問い4つと「なぜ」3回で行き先を決める」

目標が同じでも、今の財産が100万円の人と1,000万円の人では、準備することが変わります。

給料を上げたい人も、同じです。

やることは、2つあります。

    • 資産:今、持っているものを全部数える
    • 負債:これから返さなければならないものを全部数える
資産から負債を引いた残りが、今の自分の位置です。

「自分には大した財産なんてないよ」と思っている人も、大丈夫です。

多いか少ないかは、ここでは重要ではありません。

将来のお金の不安を減らすために、まずは自分が持っているものを一緒に数えましょう。

1. 持っている資産は、銀行の預金だけ?

持っている資産は銀行の預金だけではなく、銀行の残高250万円にNISAで積み立てているお金、貯蓄型の保険、毎日乗っている車を足すと400万円になることもあり、資産は大きくお金そのもの(金融資産)とお金以外のもの(非金融資産)の2つに分けられることを示した見出し画像

今、あなたが持っている資産は何ですか。

    • 「銀行にある貯金かな」
    • 「NISAで買っている投資信託も入るよね」

こんなものを思いうかべる人が多いと思います。

でも、資産はそれだけではありません。

たとえば、銀行の残高が250万円だったとします。

「よし、うちの資産は250万円だな」で終わると、数えもれのもとです。

    • 「あれ? NISAで積み立てているお金もあるよな」
    • 「貯蓄型の保険は、どうなんだろう?」
    • 「毎日乗っている車も、中古車として売れば……?」

数えてみると、250万円のつもりが400万円になることもあります。

もちろん、車のぶんは自由に使えるお金ではありません。

それでも、自分が何を持っているかを知るだけで、家計の見え方はかわります。

資産は、大きく2つに分けると見やすくなります。

お金そのもの(=金融資産)と、お金以外のもの(=非金融資産)です。

1-1. お金そのもの(金融資産)

    • 現金・預金
    • 株式・債券
    • 投資信託
    • 商品券などの金券
    • 貯蓄型保険の解約返戻金(=今やめたら戻ってくるお金)

銀行に預けているお金や、NISAで持っている投資信託などです。

NISAは、投資のもうけに税金がかからない、国の仕組みをいいます。

金融資産は、すぐお金にしやすいものが多めです。

急に10万円が要るときも、預金があればATMで引き出せます。

一方、車を売って10万円を作るのは、すぐにはできません。

値段を見てもらい、売り先を決めて、名義を変える手続きも要ります。

ただし、金融資産なら何でも安心、というわけではありません。

100万円で買った投資信託が、80万円になることもあります。

1-2. お金以外のもの(非金融資産)

形のある資産(実物資産)
    • 土地・建物
    • 自動車
    • 貴金属
    • 価値のある家具や美術品

こちらは、買ったときの値段と今の値段がちがうことがあります。

300万円で買った車は、5年後に売ると100万円にしかならないかもしれません。

ぎゃくに、場所のよい土地は、買ったときより値上がりすることもあります。

形のない資産(無形資産)
    • 特許権
    • 著作権
    • 収益を生み出すブログや事業など

ブログそのものには、家や車のような形はありません。

それでも、これから先も収益を生むなら、資産と考えられます。

ただし、ブログやSNSのアカウントは、だれでも自由に売れるとはかぎりません。

自分自身(人的資産)

ちょっと意外かもしれませんが、自分がはたらいて稼ぐ力も、大事な資産です。

年収300万円だった人が、経験や資格をいかして年収400万円の仕事につく。

これも、自分の資産が育ったと考えられます。

資産を大きく2つに分け、お金そのもの(金融資産)は現金・預金、株式・債券、投資信託、商品券などの金券、貯蓄型保険の解約返戻金、お金以外のもの(非金融資産)は土地・建物や自動車などの形のある資産、特許権や収益を生むブログなどの形のない資産、自分がはたらいて稼ぐ力の人的資産で、資産は今の価値で考えることを示した図解

1-3. 国のデータでも、お金の資産の4割は預金以外

では、日本の家庭は、お金の資産(金融資産)だけを数えると、何を持っているのでしょうか。

総務省統計局の「家計調査(貯蓄・負債編)」で、2人以上の世帯の中身を見てみます。

貯蓄の種類 全体に占める割合
普通預金など(通貨性預貯金) 34.5%
定期預金など(定期性預貯金) 24.8%
株式・投資信託など(有価証券) 21.4%
生命保険など 17.9%
そのほか(金融機関外=社内預金など) 1.4%

※2025年平均・2人以上の世帯・1世帯あたりの平均の貯蓄現在高の内訳。

家や車は含まない、お金の資産だけの表です。

※保険は、払い込んだ保険料の合計で数えた値です(本文の「今やめたら戻るお金」とはちがいます)。

総務省統計局の家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均の2人以上の世帯では、貯蓄の内訳が普通預金など34.5%、定期預金など24.8%、株式・投資信託など21.4%、生命保険など17.9%、そのほか1.4%で、預金が約6割、預金以外が約4割であることを示した帯グラフ

預金が約6割で、残りの約4割は株や投資信託、保険でした。

銀行の残高だけを見ている人は、残りを数えもらしているかもしれません。

1-4. FPも、預金以外を確認している

家計の相談にのるFP(=お金の計画の専門家)も、預金以外も数える、この確かめ方を大事にしています。

日本FP協会の資料でも、貯蓄型の保険は「忘れがちな資産」、家も今の市場価格で足す資産です。

保険は今やめたらもどるお金、家は今の売値で数えます。

毎月の収支が黒字でも、家計ぜんたいが安全とはかぎりません。

毎月5万円ずつ貯金できている人がいたとしましょう。

それでも、ローンをあわせると借金のほうが多いこともあります。

ぎゃくに、預金は少なくても、払いおえた家や投資信託を持つ人もいます。

ここまでを2つにまとめると、次のとおりです。

    • 持っているものは、銀行の預金だけではない
    • 資産は、買ったときではなく、今の価値で考える

家計の数字3つの記事では、この全部をまとめて「総資産」とよびました。

今回は、種類ごとに数えもれを見ていきます。

→ 記事「給料を上げる前に知っておきたい、家計の数字は3つだけ」の「総資産:今、いくら持っているか」の章

2. 金融資産の数えもれ:すぐ使えるものと、今は使えないもの

金融資産の数えもれを防ぐために、現金・預金・株や投資信託・金券やポイントのすぐ使えるものと、満期が1年より先の定期預金・貯蓄型の保険・iDeCoや会社の確定拠出年金・持株会の自社株の今は使えないものに分け、使えるお金と混ぜずに別の行に書くことを示した見出し画像

金融資産は、2つに分けて数えるともれが減ります。

今すぐ使えるものと、今は使えないものです。

2-1. すぐ使えるもの

    • 現金:財布・貯金箱・家に置いてあるお金。旅行で残った外国のお金も
    • 預金:銀行ごと、家族の名義ごとに。使っていない口座も
    • 株・投資信託:証券会社の画面に出ている、今の金額
    • 金券・ポイント:商品券・プリペイドカード・買い物のポイント

数えもれが出やすいのは、使っていない口座とポイントです。

「こんな細かいの、数えたくない」と思うかもしれません。

でも、一度ぜんぶ数えてみると、自分が何を持っているかがはっきりします。

2-2. 今は使えないもの

    • 満期が1年より先の定期預金・財形貯蓄(=給料から天引きで貯める制度)・国債など
    • 貯蓄型の保険:今やめたら戻るお金(解約返戻金)。契約のときの表か、保険会社に聞くと分かる
    • iDeCo(=自分で積み立てる年金)や会社の確定拠出年金:運営している金融機関の画面に出る残高
    • 退職金(参考・合計には入れない):退職金の規則がある会社なら、今辞めたらいくらかが分かる
    • 持株会(=自分の会社の株を給料から少しずつ買う仕組み)の自社株:会社の明細の株数に、今の株価をかけた金額

これらは、今の金額は分かっても、満期前に引き出すと利息が減ったり、手続きが要ったりするものです。

使えるお金と混ぜずに、別の行に書いておきます。

公的年金は、これから作る一覧表には入れません。

老後に受け取る将来の収入なので、資産とは分けて見ます。

退職金の「今辞めたらいくらか」は、転職を考えるときの材料にもなる数字です。

3. 物の資産は、いくらで数える?

物の資産は買ったときの値段ではなく今売ったらいくらになるかで数え、買った値段と今の価値はちがうこと、売れる財産でもすぐ使えるお金とはかぎらないこと、お金に換えられる価値と大切な価値は別で無理に売る必要はないことを示した見出し画像

資産の分け方の章で見た「今の価値で考える」を、物ごとに当てはめる章です。

家や車などの物の資産は、こう考える人が多いと思います。

    • 「3,500万円で買ったから、今も3,000万円くらいかな」
    • 「まだローンも残っているし、売るつもりはないから調べていない」

でも、買ったときの値段と、今売れる値段はちがいます。

大切なのは、今売ったらいくらになるか、という考え方です。

3-1. 家や土地

持ち家がある人は、売る予定がなくても今の売値を調べます。

調べ方は2つあります。

なかなか
私も家の見積もりを数社に出したら、高い所と安い所で300万円の差がありました。

数社に聞くと、家の値段にはこれだけの幅があると分かります。

ただし、見積もりの金額でそのまま売れるとは思わないほうがよいでしょう。

極端に高い数字と極端に低い数字は、外して見ます。

「一生住むつもりだから、調べなくてもいいのでは」と思うかもしれません。

でも、暮らしはかわります。

    • 転職で別の地域に引っ越したくなる
    • 親の介護が必要になる
    • 子どもの成長に合わせて住み替えたくなる
    • 家計が苦しくなって、住宅ローンを見直したくなる

そんなとき、家の値段が分かっていれば、選べる道を考えやすくなります。

3-2. 車・家具・時計・バッグ

これらは、生活を便利にしたり、毎日を楽しくしてくれたりする物です。

ただ、高く買った物が高く売れるとはかぎりません。

買ったときに30万円した物が、今は3万円でしか売れないこともあります。

それでも、売れば値段がつく物は資産です。

フリマアプリでは、「3万円で出品されている」と「3万円で売れた」はちがいます。

参考にするなら、売れたほうの値段です。

査定する店によっても、値段はかわります。

同じバッグでも、ある店で6万円、別の店で11万円ということがあります。

「家にある物を全部査定するなんて、面倒すぎる」と思うのがふつうです。

全部は調べなくていいので、線を引きます。

たとえば「今売ったら1万円以上になりそうな物だけ」のような決め方です。

3-3. 金・宝石・骨董品

金やプラチナ、指輪やネックレス、古い絵や骨董品、高級な腕時計なども資産です。

こうした物は、見た目だけでは価値が分かりません。

何十年も前に買った指輪が、今では高く売れることもあります。

買取店で見てもらうと、今の値段が分かるでしょう。

ここまで見てきた物の資産は、金融資産とちがって値段を調べるのに手間がかかります。

銀行の預金なら残高を見るだけ、株なら今の株価を見るだけです。

一方、家は査定する会社によって300万円の差が出ることもあります。

バッグや宝石も、店によって値段がまちまちです。

お金の世界では、これを「流動性が低い」といいます。

売値が分かりにくく、買い手を見つけるのにも手間がかかる、という意味です。

3-4. 形のない資産:自分で作ったブログにも値段がつく?

特許権や著作権、収益を生むブログやWebサイト、事業のブランドや仕組み。

こうした形のない資産にも、値段がつくことがあります。

「ブログって売れるの?」と思うかもしれません。

だれでも売れるわけではありませんが、売買のサイトがあり、売れるケースはあります。

暗号資産を持っている人は、金融資産とも物とも別の行です。

取引所の画面で見える、今の評価額を書いておきます。

暗号資産は価格が変動すると、金融庁も注意しています。

3-5. 人的資産:いちばん価値が大きいのは自分自身かも

資産の分け方の章でふれた「自分がはたらいて稼ぐ力」を、もう少しだけ見ておきましょう。

表には載せませんが、転職で大きく効く力です。

稼ぐ力とは、たとえばこういうものです。

    • 仕事で身につけた知識
    • 経験や専門の技術
    • 資格
    • 人からの信頼
    • 人とのつながり

この力の大きさを、数字で見てみましょう。

労働政策研究・研修機構(JILPT)という、働くことを研究する機関があります。

その「ユースフル労働統計2025」に、生涯賃金の推計が載っています。

学校を出てから60歳まで、フルタイムの正社員で働き続けた場合の数字です。

区分 生涯賃金(推計)
男性・高校卒 約2.2億円
男性・大学卒 約2.6億円
女性・高校卒 約1.6億円
女性・大学卒 約2.1億円

※退職金は含まない、2024年の賃金をもとにした推計です。

同じ会社に勤め続けている人の給料で計算した別の推計では、これより高い数字になります。

ただし、転職した人と比べた数字ではありません。

もちろん、これは全員がそのまま受け取れる金額ではありません。

働き方や、仕事を続ける年数で大きくかわります。

稼ぐ力は、財産の表には載せません。

将来、本当にその金額になるかが不確かだからです。

でも、この力は転職先で高く評価されることがあります。

私の知り合いに、経理の仕事を長く続けていた人がいます。

仕事の責任は増えるのに、役職や給料はなかなかかわりませんでした。

長く勤めた会社への思いや、家族のことで、迷いもあったそうです。

それでも、自分が経験してきた仕事を整理してみました。

決算、予算の管理、社内の調整、リーダーの経験。

特別な資格を取ったわけではありません。

転職した結果、年収は120万円上がりました。

今まで積み重ねてきた経験が、別の会社では高く評価されました。

3-6. お金に換えられる価値と、大切な価値は別

ここまでを3つにまとめます。

    • 買った値段と、今の価値はちがう
    • 売れる財産でも、すぐ使えるお金とはかぎらない
    • お金に換えられる価値と、自分にとって大切な価値は別のもの

マイホームは、家族と暮らしてきた場所です。

車は、仕事や買い物に欠かせない人もいます。

おばあさんからもらった指輪に、値段とは別の思い出がある人もいます。

資産の価値が分かったからといって、無理に売る必要はありません。

あくまで「自分が何を持っているのか」を知ることが目的です。

4. 負債:これから返さなければならないお金

負債とはこれから返さなければならないお金で、クレジットカード、後払いサービス、消費者金融・キャッシング、家族・友人からの借金、長期間で返す負債の5つを書き出すと今の家計の形がはっきり見えてくることを示した見出し画像

資産を数え終わったら、次は負債を数えます。

ここまで来れば、あとひと息です。

なかなか
私も奨学金を借りていて、あといくら残っているか分からなかったときがあります。

負債をぜんぶ書き出すと、今の家計の形がはっきり見えてきます。

分け方は、資産よりずっと単純です。

4-1. 分け方は「短期間で返すか、長期間で返すか」だけ

負債は、返し終わるまでの長さで2つに分けます。

1つ目は、短期間で返すものです。

    • クレジットカードの未払い代金
    • 後払いサービスの未払い代金
    • 消費者金融からの借入金
    • 友人や家族から借りたお金

2つ目は、長期間で返すものです。

    • 住宅ローン
    • 奨学金
    • 教育ローン
    • カーローン

負債を返し終わるまでの長さで2つに分け、短期間で返すものはクレジットカードと後払いサービスの未払い代金、消費者金融からの借入金、友人や家族から借りたお金、長期間で返すものは住宅ローン、奨学金、教育ローン、カーローンであることを示した図解

順番に、どこで金額を確かめるかを見ていきましょう。

4-2. クレジットカード|まだ払っていない代金も負債

クレジットカードで買い物をした時点で、まだ支払っていない代金が発生します。

たとえば、10月にカードで5万円の買い物をして、11月に引き落とされる場合。

11月に払う5万円は、10月の時点で家計の負債です。

「コンビニで800円」「ネットで3,000円」「動画のサブスクで1,000円」。

一つひとつは小さくても、重なれば20万円になることもあります。

「カードは借金ではない」と思っている人は、少なくありません。

でも、使ったお金をあとから払う仕組みなので、借金と同じです。

カード会社のアプリかWebサイトで、利用明細を開きます。

見るのは次の3つです。

    • 支払日が確定している金額
    • 最近使った、まだ請求が確定していない金額
    • 分割払い(=回数を決めて払う)やリボ払い(=毎月決まった額ずつ払う)で、これから返す残高

4-3. 後払いサービス|名前が変わっても、支払いは残る

スマホ決済のあと払いや、ネット通販のツケ払い。

今お金がなくても先に商品を受け取り、あとから払える仕組みです。

名前は軽やかでも、こちらも借金に変わりありません。

後払いサービスのこわいところは、請求が別々になりやすいことです。

    • Aのサービス:2万円
    • Bのサービス:3万円
    • Cのサービス:5万円

合計すると、10万円になります。

アプリを1つずつしか見ていないと、合計10万円の借金に気づきにくいものです。

国民生活センターも、後払い決済に関する相談が増え続けていると注意を呼びかけています。

まだ払っていない分は、サービスごとに書き出しておきましょう。

4-4. 消費者金融・キャッシング|返しているのに減らない?

消費者金融やカードのキャッシング(=現金を借りる仕組み)も、負債です。

借入先のアプリかWebサイトを開いて、次の4つを見ます。

    • 借入残高
    • 金利
    • 毎月の返済額
    • 次の返済日

とくに見ておきたいのが、金利です。

金利が高いほど、同じ額を借りていても利息は大きくなります。

毎月返しているのに残高が減らないなら、利息の分が大きいのかもしれません。

複数の会社から借りている人は、ぜんぶ足して1つの数字にします。

返す順番の目安は、金利が高い借り入れから先です。

すでに返すのが難しくなっている人は、1人で返す順番を決めなくて大丈夫です。

多重債務(=複数の借金で返済が苦しい状態)の相談窓口があります。

財務局・都道府県・市区町村・法テラスなどです。

4-5. 家族・友人からの借金|金額よりも、信頼を失うことも

    • 「今日、財布を忘れたから1,000円貸して」
    • 「旅行代、先に立て替えてもらっていい?」
    • 「急な出費があるから、親に5万円借りよう」

これも、負債です。

借りた側にとっては、ちょっとした金額に見えます。

でも、貸した側は覚えているものです。

    • 誰から借りたのか
    • いくら借りたのか
    • いつ返す約束だったのか
    • すでにいくら返したのか

もしあいまいになっているなら、相手と確かめておきます。

4-6. 長期間で返す負債|何年先まで返済が続くかを知る

    • 「毎月8万円払っているのは分かるけど、残高は分からない」。

長く返す負債は、毎月の額は分かっても、全体が見えにくいものです。

住宅ローン

銀行の返済予定表や残高証明書、インターネットバンキングで確かめます。

最低限、次の4つを見ておきます。

    • 今の借入残高
    • 毎月の返済額
    • 金利
    • 完済予定の年月

住宅ローンの残りを「あと2,000万円くらい」としか言えないなら、この4つを見直すところからです。

奨学金・教育ローン|卒業してからも返済は続く
    • 貸与型奨学金:学生本人が借りて、本人が返す
    • 教育ローン:保護者が借りて、保護者が返す

日本学生支援機構の奨学金なら、「スカラネット・パーソナル」で残額が見られます。

紙の残額のお知らせは、口座振替の人にはもう届きません。

日本FP協会も、「忘れがちなのが、貸与型の奨学金」と書いています。

社会人になってからも返し続けるものなので、負債の表に入れておきましょう。

カーローン|毎月の支払額だけで判断しない
    • 「月々3万円なら払えそう」。

車を買うとき、こう考えて決めることがあります。

でも、毎月の金額だけでは、借金全体の大きさは分かりません。

たとえば毎月3万円を5年間返すなら、単純計算で合計180万円です。

180万円は払う総額で、この中に金利が入っています。

借りた元金はこれより少ないので、残っている元金も見ておきたい数字です。

残価設定型のクレジットという方式もあります。

数年後の車の価値を先に決めて、その分を最後の回に残す仕組みです。

この場合は、残っている元金(=利息を除いた、借りたお金の本体)と最後の回の条件も見ておきます。

4-7. 書類が見つからないときの確かめ方

    • 「昔借りたローンの書類なんて、どこに置いたか分からない」。

借りた先が分かっているなら、次のどれかで確かめられます。

    • 借入先のアプリかWebサイトにログインする
    • 返済予定表・残高明細書を探す
    • 借入先の窓口に問い合わせる
    • 対応しているものは、家計簿アプリ(=銀行やカードの出入りを自動で記録するアプリ)とつなぐ

→ 記事「マネーフォワードMEの始め方。登録・つなぐもの・現金の入れ方」の「銀行とカードをつなぐ」の章

貸金業者やカード会社からの借り入れで、借りた先そのものが分からなくなった、という人もいるかもしれません。

その場合は、信用情報機関に開示を求める道があります。

信用情報機関とは、借り入れの記録を集めている機関のことです。

3つの機関すべてに求める必要が出る場合もある、と金融庁は案内しています。

すべての借入先を確かめたら、最後に一覧表にします。

負債の種類 残高
クレジットカードの未払い  万円
後払いサービス  万円
消費者金融  万円
家族・友人からの借金  万円
住宅ローン  万円
奨学金・教育ローン  万円
カーローン  万円
負債合計  万円

これで、負債の一覧のできあがりです。

4-8. 借金を見るのがこわいのは、自然なこと

    • 「思っていたより多かったらどうしよう」
    • 「今さら確認しても、返せるわけじゃないし」

嫌なものは見たくない。

これは、だれにでもある気持ちです。

預金の残高はときどき見ても、借金の残高は、つい後回しになります。

だからこそ、ここで止まる人が多いのでしょう。

でも、ここを直視できるかどうかで、その後が変わります。

一度ぜんぶ書き出せば、次からは増えた分・減った分を直すだけです。

借りている額が分かっていれば、転職で収入が一時下がっても、落ち着いて選べます。

5. 資産から負債を引くと、何が分かる?

資産から負債を引くと分かることとして、年収と本当の財産は別のもの、マイナスなら金利の高いものから減らす対策が先、次の手はどの資産を増やすかとどの負債から減らすかの2つであることを示した見出し画像

資産と負債を、ぜんぶ書き出しました。

残っているのは、引き算が1回だけです。

ここまでに数えた資産の合計から、負債の合計を引きます。

残った額が、今の本当の財産(純資産)です。

資産の合計から負債の合計を引いた残りが本当の財産(純資産)で、この表が家計のバランスシートであり、長く返す借金でマイナスでもそれだけで支払いが止まるわけではないことを示した図解

金額
金融資産の合計    万円
物の資産の合計    万円
そのほか(暗号資産・満期が先の預金など)    万円
資産の合計    万円
負債の合計(負債の一覧表から)    万円
本当の財産(純資産)=資産の合計−負債の合計    万円

この表が、家計のバランスシートです。

ライフプランの記事で、こんな表を置きました。

貯金は同じ300万円でも、借金が0円の人と200万円の人では、本当の財産がちがう。

→ 記事「ライフプランとは?計算より先に「どう生きたいか」を書く」の「収支表とバランスシート:今の家計の現在地を知る」の節

この章で作った表は、その表を自分の数字で埋めたものです。

5-1. 年収と、本当の財産は別のもの

年収が高い人ほど、財産も多い。

そう思いがちですが、2つは別のものです。

年収が高くても、借りている額が大きければ、本当の財産は小さくなります。

反対に、年収が高くなくても、負債が少なければ、本当の財産は借金で削られません。

この残りの額は、給料を上げたい人こそ見ておきたい数字です。

給料が上がっても、借りる額も増えれば、位置は変わらないからです。

5-2. マイナスだったら、どうする?

引いてみたら、マイナスだった。

住宅ローンや奨学金を返している人なら、起こることです。

住宅ローンや奨学金は、何年もかけて返す前提の借金です。

それでマイナスになっていても、それだけで今月の支払いが止まるわけではありません。

ただ日本FP協会は、純資産が少ない人やマイナスの人は「要注意」と書いています。

その場合は、金利の高いものから減らす対策が先です。

日本FP協会は、マイナスの人は「負債を減らすなどの対策」が要る、とも書いています。

対策を考えられるのは、マイナスだと分かった人だけです。

分からないままでは、対策のしようがありません。

ここが、前の章の最後で「直視できるかどうかで、その後が変わる」と書いた理由です。

5-3. 位置が分かると、次の手が決まる

本当の財産が分かると、次に考えることは2つに絞られます。

    • どの資産を増やすか
    • どの負債から減らすか

返す順番の目安は、金利の高いものからです。

これも、日本FP協会が書いている目安です。

行きたい場所を決めた人は、これで「行き先」と「今の位置」がそろいました。

残りの額が大きいか小さいかより、分かっていることに意味があります。

まとめ

まとめとして、資産を預金だけでなく保険・車・家も今の価値で数える、負債を短期間で返すものと長期間で返すものに分けて数える、引き算をして残りが本当の財産(純資産)になることと、今日やることは銀行の残高1つから表を1枚作ることを示した見出し画像

今の位置は、資産から負債を引く、1回の引き算で分かります。

やることは2つ。

最後に引き算を1回。

    • 資産を数える。預金だけでなく、保険・車・家も「今の価値」で
    • 負債を数える。短期間で返すものと、長期間で返すもの。残高はアプリやWebサイトで、家族からの借金は相手と確かめる
    • 引き算をする。残りが本当の財産(純資産)。長く返す借金でマイナスでも、それだけで支払いが止まるわけではない

稼ぐ力や思い出の品のように、表には載らない価値もあります。

数えるのは、無理に売るためではなく、自分が何を持っているかを知るためです。

私も、奨学金の残りが分からなかったときがあります。

行き先と今の位置がそろうと、次に考えることは2つに絞られます。

どの資産を増やすか、どの負債から減らすか。

給料が上がっても、借りる額も増えれば、位置は変わりません。

給料を上げたい人こそ、この残りの額を見ておきます。

今日やるのは、これだけ。

    • バランスシートの表を1枚作って、今すぐ分かる数字だけ入れてみてください。銀行の残高1つからで大丈夫です。

参考にした主な出典

家計の貯蓄の内訳
  • 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年平均結果(二人以上の世帯)」2026年5月19日公表
    二人以上の世帯の貯蓄現在高(金融資産だけ・不動産は含まない)の種類別の内訳。通貨性預貯金・定期性預貯金・有価証券・生命保険など・金融機関外の5つに分けた平均の金額と割合。概要のPDFを開いて確認、2026年10月27日。「金融機関外」は社内預金や勤め先の共済組合などへの預貯金のこと(用語の解説は2021年の結果のPDFで確認)
    → 概要のPDF・用語の解説のPDF(2021年)
資産と負債の確かめ方、純資産
  • 日本FP協会「くらしとお金のワークブック」Part1 p.10〜11「現在の資産と負債を把握しよう」
    貯蓄型の保険は解約返戻金で、不動産は今の市場価格で数えること。忘れがちな貸与型の奨学金の返還残高も負債に入れること。「資産 − 負債 = 純資産」で、マイナスなら負債を減らすなどの対策が要ること、金利の高い負債から減らすこと。PDFを開いて確認、2026年10月27日
    → ワークブック Part1のPDF
  • 日本FP協会「提案書の作成」(AFP研修の教材・公開PDF)
    家計の収入の欄に、公的年金(継続的収入)と退職金(一時的収入)が置かれている。iDeCoなどの個人年金の資産価値は資産に反映する、という考え方。PDFを開いて確認、2026年10月27日
    → 提案書の作成のPDF
生涯賃金
  • 労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計2025」21.1 生涯賃金
    60歳までフルタイムの正社員として働いた場合の生涯賃金(退職金を含めない・2024年)。学歴と性別で4つの金額。PDFを開いて確認、2026年10月27日
    → 21章のPDF
暗号資産、家の値段の調べ方
  • 金融庁「暗号資産の利用者のみなさまへ」
    暗号資産は価格が変動することがある、という注意。2026年10月27日確認
    → 金融庁のページ
  • 国土交通省「不動産情報ライブラリ」
    不動産の取引価格や地価公示などの価格の情報を、地図で調べられる国のサイト。2026年10月27日確認
    → 不動産情報ライブラリ
後払い、借入先が分からないとき、奨学金の残り
  • 国民生活センター「増加し続ける後払い決済サービスが関連する消費者トラブル」2025年7月2日公表
    後払い決済の相談が増え続けていることと、契約条件をよく確認するようにという注意。2026年10月27日確認
    → 発表のページ
  • 金融庁「金融サービス利用者相談室」よくある相談(多重債務)
    借入先の業者名が分からないときは、信用情報機関に開示を求めること(3つの機関すべてに必要な場合がある)。相談窓口は財務局・都道府県・市区町村・法テラス・弁護士会など。2026年10月27日確認
    → 相談室のページ・全国の財務局の相談窓口(PDF)
  • 日本学生支援機構(JASSO)「スカラネット・パーソナル」閲覧・確認できる内容
    返している途中の人は、返還残額(元金)・返還残回数・現在の請求額が見られる。口座振替の人への紙の「振替案内(残額のお知らせ)」は令和2〜3年度から送られない。2026年10月27日確認
    → 閲覧・確認できる内容・振替案内の今後の取扱い