転職は、いつ考えればいいのでしょうか。
そもそも今しんどいのは、会社のせいなのか。
それとも、自分の甘えなのか。
「辞めたい!」まで振り切れていない人は、多いと思います。
どこまでが「どこの会社にもあること」で、どこからが「もう動いたほうがいい」なのか。
その線が、自分では引けませんでした。
「転職したほうがいいのかな」で止まっている人へ

そんな人に、知っておいてほしい考え方があります。
アメリカの経済誌 Forbes(フォーブス)の日本版に、2023年5月8日に載った記事です。
題は、「これらの問いの答えが『はい』なら転職のタイミング」。
転職を考える目安として、8つの質問が紹介されています。
— Forbes JAPAN「これらの問いの答えが『はい』なら転職のタイミング」(2023年5月8日)
- 満足感がまるでない?
- 社内に自分の未来はないと感じる?
- ワークライフバランスがとれていない?
- 有害な職場環境から抜け出せない?
- 努力が評価されていない?
- インフレが経済的なストレスになっている?
- 企業文化に違和感や不満がある?
- 上司や経営陣を信用できない?
そういう話ではありません。
「転職を考え始める8つのサイン」です。
これが、私の見方です。
好きな場所で、好きな仕事をして働く。
それは、誰もが思い描く理想だと思います。
そのためには、「働いてはいけない場所」を知っておくことが大事です。
本当に、そういうことが起こります。
ここからは、8つの質問を1つずつ。
私の場合はどうかも、添えていきます。
質問1. 満足感がまるでない?

1つ目の質問です。
「今の仕事に、満足感がまるでない?」
見てほしいのは、「まるで」のところです。
仕事をしていると、仕事量が多くて追い詰められることがあります。
めちゃくちゃしんどい時も、あると思います。
それでも、「大変だけど満足感はある」ということは、あるんです。
私の場合は、1つの案件が終わったとき。
上司や同僚と、喜びを共有できます。
自分が関わった仕事の成果が、ちゃんと見えたとき。
「やってよかったな」となります。
山登りと同じです。
登っている時はつらくても、頂上の景色が見えたら「登ってきてよかった」となる。
だから、満足感がないということはありません。
不満は、あります。
もう辞めようかな、と思うこともあります。
でも、総合的には、この仕事が好きです。
お客さんに笑顔で名前を呼ばれたり、ご家族から感謝されたりしたとき。
「この仕事自体は好きなんだよな」と思う瞬間が、あったりします。
「大変だけど、この仕事が好き」。
これなら、この質問の答えは「いいえ」。
満足感がまったくない、というのは、それとは別です。
「この仕事を何のためにやっているのか」が、分からなくなっている状態です。
嫌なところがある、というより、「いいところがもう感じられない」。
この質問は、仕事を続ける理由がまだ残っているかを見る質問だと思います。
目安は、この1週間です。
「やってよかった」と思えた瞬間が、1つでもあったかどうか。
1つもないなら、この質問は「はい」です。
満足感が何もなくなると、モチベーションもなくなる。
ただただ、作業をこなすだけになります。
新人のころは、「もっと勉強しよう」「新しいことを覚えよう」と思うものです。
それが、いつからか「割に合わないな」に変わる。

どんどんやる気がなくなって、ただ仕事をこなすだけになる。
そうすると、スキルも身につかない。
そういう悪循環に入ります。
植物に水をあげない状態が続くと、枯れてしまうのと同じです。
質問2. 社内に自分の未来はないと感じる?

2つ目の質問です。
「社内に、自分の未来はないと感じる?」
言い換えると、こうです。
今ここで頑張ったら、来年・3年後・5年後と、良くなるイメージが持てるか。
今はまだ、同期で3番目。
でも、1位を取れば賞与が増える。
だから、もうちょっとやろう。
主任になったら、大きなお客さんを任せてもらえる。
そういう「何か」があるか、です。
友人から、相談を受けたことがあります。
毎日、ほぼ同じ仕事の繰り返し。
先輩を見ると、残業して、たまに飲みに行って、仕事の愚痴をずっと言っている。
「自分も、ああなるのか」。
このままでいいのかな、と。
そうなると、「ここで頑張ってもしょうがない」になります。
仕事へのやる気が、減っていく。

目安は、2つです。
「この大変さの先に、何もない」。
そう思ったときにも、人は頑張れなくなります。
昇格が実力だけでは決まらず、年功序列の影響も大きいと分かったとき。
「ここで頑張ってもな」と、なりました。
先輩や、45歳の上司の年収を知ったときも、同じでした。
昇進しても、給料は1円も上がらなかった。
この質問は、「はい」でした。
希望の部署がある。
職種や役職を変えたい。
その希望が何年も叶わないと、「待っていたら、いつか」が「たぶん、ずっとこのままだな」に変わります。
こんな環境では、仕事のやりがいがなくなって、楽しくなくなる。
数字でも、出ています。

転職サイトの doda(デューダ)が、2024年7月〜2025年6月に転職した978人に聞いた調査です。
転職した理由の1位は「給与が低い・昇給が見込めない」で、36.6%。
3位は「個人の成果で評価されない」で、22.8%。
「昇進・キャリアアップが望めない」も18.7%で、トップ10に入っています。
何年頑張っても、給料が上がらない。
何度希望を出しても、異動はかなわないまま。
成果を出しても、評価されない。
これが続くと、「次こそ頑張ろう」ではなく、「頑張ってもどうせ無駄だ」になります。
そして、何もやらなくなっていく。
こわいのは、ここからです。
「今の会社がダメ」ではなく、いつの間にか「会社って、どこもこんなもんでしょ」と思うようになる。
転職しなかったら、知らないままだったことが、たくさんあります。
まだ応募すらしていないのに、今の会社で覚えた常識を、世の中全部に当てはめてしまう。
1社か数社しか知らないのだから、分からなくて当たり前です。
今いる会社の常識が、世の中の常識とは限りません。
今の会社にいる5年後の自分と、上司の姿を、1度見てみてください。
質問3. ワークライフバランスがとれていない?

3つ目の質問です。
「ワークライフバランスがとれていない?」
言い換えると、今の働き方を、ずっと続けていけるか、です。
繁忙期で、1か月だけ毎日22時まで働く。
それなら、「今だけだから頑張ろう」と走れる人は多いと思います。
でも、これが来月も、来年も、5年後も続く。
となると、「無理かも」となりますよね。
家族の時間も、そうです。
このままでは無理かも、となります。
ワークライフバランスを気にするのは、「ずっと続けていけるか」を見ること。
20代なら、気合いでできる。
でも、30代、40代になると、無理かも。
「生活を犠牲にしてまで、この仕事を続ける意味はあるのか」と、考えることもあると思います。
「できる」と「続けられる」は、別です。
これをずっと続けると、何のために仕事をして、生活しているのか、分からなくなります。
ワークライフバランスを考えなくなると、倒れてしまうことがあります。
100メートルは速く走れても、マラソンだったら持たない。
いいペースで、走り続けられるか。
そういうことだと思います。
ワークライフバランスがとれていない人は、いつかしんどくなります。
もちろん、ワークライフバランス=毎日ゆるく働くこと、ではありません。
新規プロジェクトの立ち上げ、決算、繁忙期、大きなプレゼンの前。
でも、それがずっと続くと、走り続けられないと思うんです。
終わりが見えている忙しさなら、この質問は「いいえ」。
「いつまで」が無いまま続いているなら、「はい」です。
数字でも、出ています。
同じ doda の調査で、「労働時間に不満(残業が多い・休日出勤がある)」は26.3%で、転職した理由の2位でした。
残業の時間で見る、国の目安も1つ。

国(厚生労働省)の労災の基準では、残業が長くなるほど、脳や心臓の病気との関係が強まるとされています。
(残業=1週間に40時間を超えて働いた時間)
月45時間を超えると、長くなるほど関係が強まります。
2〜6か月の平均でおおむね月80時間を超えると、関係が強いと判断されます。
1か月でおおむね100時間を超えたときも、関係が強いと判断されます。
給与明細や勤怠の記録で、自分の残業時間を1度数えてみてください。
体調につながるような環境にいる人は、早く転職を考えたほうがいい。
そう思います。
転職だけでなく、まず休むことも、選択肢に入れてください。
質問4. 有害な職場環境から抜け出せない?

4つ目の質問です。
「有害な職場環境から抜け出せない?」
嫌な人がいる職場、ということではありません。
会社そのものが有害な職場、という意味です。
何度も相談しても、結局、何も変わらなかった。
大きな問題があるままで、それを放置している。
その会社まで含めて、問題です。
職場に、自分の味方が1人もいない。
道徳的・倫理的に、やってはいけないこと。
違法行為。
「これはやめるべきだ」と言っても、変わらない。
これが、有害な職場です。
不動産の仕事で、「本当は、このお客さんには合わない」と思っている物件。
それでも、「余計なことは言わず、契約を取れ」と言われる。
知識を身につければ身につけるほど、「ここで働き続けると、自分が嫌いになりそう」。
そんな感覚になったことがあります。
「嫌な人がいるか」も、そうです。
でも、「嫌なことが起きたとき、会社が守ってくれるか」も、大事なこと。
ここで1つ、線引きがあります。

上司が変われば終わる。
異動すれば、まともな部署がある。
それなら、この質問は「いいえ」に近いです。
でも、異動すれば解決する、と思ったのに、異動先も同じだった。
そういう場合は「はい」。
もう転職したほうがいいと思います。
職場環境がものすごく悪いと、質問ができないんです。
もう、「すみません」としか言えない。
職場を変えると、「どこまで分かった? 一緒に確認しよう」と言ってくれる。
そのとき、やっぱりあの環境はおかしかった、と分かりました。
職場に慣れてしまっている人も、いると思います。
パワハラや、怒鳴り声があっても、何も言えない。

国(厚生労働省)が2023年度に、働く人8,000人に聞いた調査があります。
パワハラを受けたあと「何もしなかった」人が、36.9%で、いちばん多い答えでした。
慣れてしまうと、動けなくなる。
でも、そんな職場だけじゃない、ということを知ってほしい。
同じ調査で、過去3年間にパワハラを受けた人は、19.3%でした。
5人に1人。
裏を返せば、5人に4人は「受けていない」と答えています。
怒鳴られるのが毎日、という職場は、当たり前ではない。
転職だけが出口ではありません。
国の相談窓口(総合労働相談コーナー)は、無料で、誰でも使えます。
それでも、会社が変わらないなら。
これは、勇気を出して抜け出して、としか言えません。
私は、スキルを磨いたり、転職したりして、違う世界になりました。
「本当に人生が変わった」と言えるくらいに。
だから、踏み出してほしい。
質問5. 努力が評価されていない?

5つ目の質問です。
「努力が評価されていない?」
これは、難しい質問です。
本人は「努力した」と言っても、実際に成果が出ているかは、別だからです。
勉強を、これだけがんばりました。
でも、テストの点数は0点です。
これだと、やっぱり評価は難しい。
でも、「これだけがんばったのは評価してほしい」という気持ちも、もちろんあると思います。
一生懸命なのは、分かる。
でも、評価したいのは、そこじゃない。

こういうズレは、あると思います。
社員を大切に思っていることと、社員を正確に評価できることは、また別です。
数字でも、出ています。
株式会社日本経営が2026年2月に、評価制度のある中小企業(従業員50〜299人)の経営者に聞いた調査です。
評価の運用で困っていることを複数選ぶ質問では、「評価者による評価のばらつき」が63.8%で、いちばん多い答えでした。
「評価制度が完全に機能している」と答えたのは、106人のうち18.9%です。
働く側の数字も、あります。
同じ doda の調査では、「個人の成果で評価されない」が22.8%で、転職した理由の3位。
「会社の評価方法に不満があった」が19.7%で、7位でした。
お互いにちゃんと納得できるか、も大事です。
でも、誠意があるかは、分かります。
「ただがんばった」ではなく、こう聞いてみます。

「今年は売上目標を120%達成しました。なぜB評価なのでしょうか?」
上司「まあ、総合的に判断したから」。
「A評価になるには、何を改善すればいいですか?」
上司「評価に文句を言う前に、もっと頑張って」。
これだと、あまりに仕事に敬意がないですよね。
同じ質問に、こう返ってきたら、どうでしょう。
上司「まず、売上を達成してくれたことは本当に助かった。ありがとう」。
「ただ、利益率が目標に届かなかったことと、後輩育成の項目でB評価になったんだ」。
「来期は利益率も意識してみよう。必要なら私も一緒に対策を考えるよ」。
これなら、少しは納得できますよね。
真剣に向き合ってくれるかどうか、です。
こういう言葉が繰り返されるなら、社員は尊重されていません。
向き合ってくれるなら、この質問は「いいえ」。
「辞めれば?」が繰り返されるなら、「はい」です。
「今の場所で工夫する」と「自分に合う場所を探す」。
両方とも、大事です。
でも、真剣に向き合ってくれない所で、「もっとがんばれば評価される」と期待するより。
ちゃんと向き合ってくれる所で、がんばるほうがいい。
今、通っている所だけが、会社ではありません。
知らないだけで、自分に合う場所はあります。
自分の側でできることは、がんばっても評価されない人へ。評価されるための3つのことに書きました。
質問6. インフレが経済的なストレスになっている?

6つ目の質問です。
「インフレが経済的なストレスになっている?」
給料は減っていないのに、なぜか生活がどんどん苦しくなっていく。
そういう感覚のことです。
去年と同じ仕事をして、去年と同じ給料をもらっている。
それだけなのに、実質的には貧しくなっていく。
これからも物価が上がる中で、自分の会社は給料を上げていけるのか。
ここが、大事な点です。
給料には、「名目賃金」と「実質賃金」があります。

例えば、月給30万円の会社員がいるとします。
給料が3%増えると、30万9,000円。
「9,000円増えた。うれしい」となるかもしれません。
でも、同じ期間に物価が5%上がっていたら。
ざっくり、5−3で、実質賃金は2%のマイナスです。
分かりやすくすると、30万円で買えていたものが、5%上がって31万5,000円。
「昇給したのに、去年と同じ生活ができない」。
そういうことが、起きてしまいます。
この実質賃金は、つい最近までずっとマイナスでした。
最近、やっとプラスになりました。
国の数字で、見てみます。

厚生労働省の毎月勤労統計調査では、2025年は1月から12月まで、12か月ぜんぶマイナスでした。
2026年1月に、13か月ぶりにプラスになりました。
インフレが怖いのは、自分が気づかないうちに、財布からお金を抜かれていることです。
何か1つは、感じたことがあると思います。
もともと無駄づかいをしていない人ほど、節約だけで物価の上昇に対応するのには限界があります。
「なかなか貯金が増えないな」という人も、いるかもしれません。
これを解決するには、インフレ以上に賃上げできる会社か。
ここが、大事になってきます。
同じ調査の、最新の2026年8月分(速報)では、給料が3.8%増、物価が2.2%上昇。
物価の分を引いた実質賃金は、1.5%の増加でした。
2026年は1月から8月まで、8か月続けてプラスになっています。
これを聞いて、「えっ、そうなの?」「全然変わっていない」と思う人も、いるはずです。
それが、転職を考えるタイミングです。
従業員100人以上の会社では、91.5%が2025年に1人平均の賃金を上げた、または上げる予定と答えました(厚生労働省の調査)。
そんな中で何年も据え置きなら、周りの会社と比べてみる価値はあります。
私の友人にも、営業成績1位なのに、基本給が全然上がらなかった人がいます。
手取りは月20万円未満で、賞与もなし。
そこで、私と話したり、転職について調べたりして、ITエンジニアに転職しました。
年収は、120万円アップしました。
もちろん、単に会社を変えただけではありません。
営業成績1位を取るくらいなので、勉強もしています。
本人は、「社内に自分の未来が見えない」と言っていました。
2つ目の質問と、つながっています。
「賃上げしてあげたい。でも、材料費などもろもろ上がっている」。
そういう会社側の事情も、あると思います。
それでも、まずは賃上げができる会社かどうか。
そして、賃上げしてくれるか。
これは、やっぱりあります。
去年、今年と、給料は上がりましたか。
上がったなら、物価の分に届いていますか。
届いているなら、この質問は「いいえ」。
何年も据え置きなら、「はい」です。
何年も賃上げされず、これからも改善する見込みがないなら。
会社の事情が変わるのを待つだけでなく、ほかの会社に目を向けてみたほうがいい。
質問7. 企業文化に違和感や不満がある?

7つ目の質問です。
「企業文化に違和感や不満がある?」

まず、この質問の「不満」は、「会社の価値観が自分と合わないこと」です。
日々の「仕事への不満」とは、まったく別の問題だと考えてください。
不満があるたびに転職していたら、きりがありません。
「あの上司、ちょっと苦手だな」で、すぐ転職するのも同じです。
上司そのものの話は、次の8つ目の質問で。
でも、企業の文化となると、話は変わります。
価値観が合わない人と、ずっとつき合っていくのはつらいですよね。
会社には、企業理念や行動指針があります。
そう感じたら、その会社には合っていません。
理念や指針なんて知らない、という人もいると思います。
毎朝、朝礼で言っているだけで、中身をイメージしていない。
そういう会社も、あるかもしれません。
その場合は、毎日の習慣を見てください。
これは、企業文化に合っているか、合っていないか、という話です。
どの企業文化が正しいか、という話ではありません。
4つ目の質問の「有害な職場」とも、別の話です。
合わないのは、会社も自分も悪くないのに、かみ合っていない状態のことを言います。
同じ doda の調査を、見てみます。
「社内の雰囲気が悪い」が、転職理由の5位(20.7%)でした。
およそ5人に1人は、社内の雰囲気を理由に、転職しています。
今の会社の企業文化には合っていないけれど、ほかの会社では合っている。
そういうことは、よくあります。
「なにがなんでも全国大会に行くぞ」と燃えていて、試合に勝つことがなによりの目標の部活。
勝てればうれしいけれど、楽しむことが目標で、練習は週3日。
勉強や遊びの時間も大事にする部活。
どちらがいい悪い、ということではありません。
働くことは、日常の一部です。
相性や価値観が、合っているかどうか。
何か違和感があると、やっぱり「違うな」となるものです。
そして、しんどくなります。
恋愛でも、好きだけれど、価値観の合わない人とつき合い続けると、しんどくなります。
結婚して、将来は子どももほしい人と、今は仕事をがんばりたくて、子どもを持つことに前向きではない人。
やっぱり、合いません。
見分けかたは、1つです。
会社が大事にしていることを、自分も「大事だ」と思えるか。
思えるなら、不満があっても、この質問は「いいえ」。
会社が大事にしていることに、ずっと違和感があるなら、「はい」です。
働くにあたって、企業文化が合わない。
そうなったら、転職を考えるときです。
質問8. 上司や経営陣を信用できない?

8つ目の質問です。
「上司や経営陣を信用できない?」
7つ目の質問で、「あの上司、苦手だな」で転職するのは違う、と書きました。
この質問で見るのは、好き嫌いではなく、「信用できるか」です。
どんな上司の下で働くことになるかは、自分では決められません。
働く環境は、とてつもなく大事です。
そして上司は、同じ会社にいるかぎり、自分から変えることがむずかしい相手です。
それを上司が、社長や会長に「自分で全部作った」と説明していました。
アイデアまで、上司の手柄でした。
「上司を変えてください」と言っても、変わるかはわかりません。
どの部署に行っても、同じです。
上司が変わっても、次の上司がいい人かは、またわかりません。
私の場合は上司が複数いたので、良い上司もいれば、嫌な上司もいました。
だから、まだ我慢できました。
でも、経営陣は、なかなか変わりません。
クラスの担任が変わっても、教頭先生や校長先生の考え方は変わらないのと同じです。
校長先生の考え方が信用できないと、学校全体のルールは変わっていきませんよね。
経営者には、権限があります。
社員がちょっとがんばったくらいでは、変えられません。
「ここの機械はもう何十年も前のものなので、入れかえを検討してほしい」と伝えました。
「そうすれば、生産性をこれくらい上げられます」と、提案もしました。
そのときは「みんなから機械の意見が出ているので、前向きに検討する」という返事でした。
結局、何も変わりませんでした。
変わらないこと自体は、しかたがありません。
でも、「今の機械で生産性を上げろ」と怒られました。
「ほかの人は、そんなことを言い訳にしていない」とも言われました。
経営陣の考え方や軸は、なかなか変わらないものです。
経営陣が変わらなかった話は、もう1つあります。
時間の決まりの関係で、タイムカードを切ったあとに仕事をすることがありました。
もちろん、よくないことです。
仕事を終わらせようと、がんばっていたつもりでした。
それでも、経営者の意見として「もっと早く終わらせろ」と、上司から怒られました。
「言うことは、ずっと変わらないんだな」と思いました。
doda の調査にも、出ています。
「尊敬できる人がいない」が、転職理由の4位(20.9%)でした。
「業界・会社の先行きが不安」も、9位(19.0%)です。
職場の人や会社の行く先に不安を持つことは、転職の理由として、めずらしくありません。
やっぱり、他人を変えることはむずかしいです。

でも、自分がどう行動するかは、自分で決められます。
そう願って何とかするより、「この上司や経営者とは合わない」と、別を探してみるほうがいいです。
もちろん、次の職場に良い上司がいるか、経営陣を信用できるかは、わかりません。
それでも、動かないほうが、よほど変わりません。
信用できない経営者や上司に、何とか評価されよう、変えようとするより。
信用できる経営陣や上司を、探しに行きましょう。
付き合える会社の候補は、たくさんあります。
今の会社に、こだわりすぎなくていいです。
人付き合いでも、相手の性格を無理やり変えるのではなく、自分の行動や距離の取り方を変えますよね。
「変わってくれるのを待つ人生」と「自分から動く人生」の違いです。
いろいろ見てみて、気づくこともあります。
そういうことも、動いてみてわかります。
8つの質問の元の記事は、「まず上司や人事と話し合って、改善できないか確かめよう」と書いています。
私は面談で伝えました。
それでも、変わりませんでした。
見分けかたは、1つです。
この人たちの決めたことに、自分の3年後をあずけられるか。
苦手でも、決めたことは筋が通っている、と思えるなら「いいえ」。
伝えても変わらず、あずけられないなら、「はい」です。
信用できない人の運転やガイドに、任せていけますか?
だから、これも転職のタイミングです。
まとめ

8つの質問を、もう一度ならべます。
— Forbes JAPAN「これらの問いの答えが『はい』なら転職のタイミング」(2023年5月8日)
- 満足感がまるでない?
- 社内に自分の未来はないと感じる?
- ワークライフバランスがとれていない?
- 有害な職場環境から抜け出せない?
- 努力が評価されていない?
- インフレが経済的なストレスになっている?
- 企業文化に違和感や不満がある?
- 上司や経営陣を信用できない?

「はい」は、いくつありましたか。
半分の4個以上なら、身の振り方を考える時期だと思います。これが、私の見方です。
ただし、3つ目と4つ目は別です。
体調を崩すほどの残業や、パワハラが続いているなら、数に関係なく、まず相談窓口に話すところから始めてください。
「はい」が多かった人に、知っておいてほしいことが1つあります。
転職と、転職活動は、別のものです。

転職には、リスクがあります。
でも、転職活動には、リスクがありません。
求人を見て、話を聞いて、今より条件のいい会社が無ければ、「やめた」でいいからです。
あとから決められるのが、転職活動です。
いま、求人は少なくありません。
厚生労働省の発表では、2026年8月の有効求人倍率は1.18倍でした。
仕事を探している人1人に、求人が1.18件ある、という意味です。
正社員だけで見ても、1.00倍でした。
どう動けばいいか分からない人は、転職エージェント(=求人を紹介してくれる会社)に相談してみてください。
「こんな経歴があるのですが、どんな求人がありますか」の、軽い聞き方で大丈夫です。
「辞めたい!」まで振り切れていなくても、いいと思います。
8つの質問を、半年に1回、自分に聞いてみてください。
参考にした主な出典
8つの質問の元になった記事- Forbes JAPAN「これらの問いの答えが『はい』なら転職のタイミング」Jack Kelly、2023年5月8日
転職を考える目安になる8つの問い。この記事の質問1〜8は、この記事の見出しをそのまま使いました。「はい」の数の目安は元の記事には無く、書き手の見方です
→ 記事のページ
- doda「転職理由ランキング」
2024年7月〜2025年6月に転職した20〜59歳の正社員978人に聞いた調査。「給与が低い・昇給が見込めない」36.6%で1位、「労働時間に不満」26.3%で2位、「個人の成果で評価されない」22.8%で3位、「尊敬できる人がいない」20.9%で4位、「社内の雰囲気が悪い」20.7%で5位、「会社の評価方法に不満があった」19.7%で7位、「業界・会社の先行きが不安」19.0%で9位、「昇進・キャリアアップが望めない」18.7%。2026年2月16日更新のページを2026年10月13日に確認
→ ページ
- 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」パンフレット
残業が月45時間を超えて長くなるほど、脳や心臓の病気との関係が強まる。2〜6か月の平均でおおむね月80時間を超えるか、1か月でおおむね100時間を超えると、関係が強いと判断される。ここでの残業=1週間に40時間を超えて働いた時間
→ パンフレットのPDF
- 厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」2024年3月
働く人8,000人への調査。過去3年間にパワハラを受けた人は19.3%。受けたあとの行動は「何もしなかった」が36.9%でいちばん多い
→ 概要版のPDF - 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
各都道府県の労働局や労働基準監督署などにある相談窓口。予約不要・無料。2026年10月14日確認
→ 案内のページ
- 株式会社日本経営の調査、PR TIMES で2026年5月15日発表
2026年2月13日〜16日に、評価制度のある従業員50〜299人の中小企業の経営者106人に聞いた。評価の運用の課題(複数回答)で「評価者による評価のばらつき」が63.8%で最多、「評価制度が完全に機能している」と答えた人は18.9%
→ 発表のページ
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年8月分結果速報」2026年10月7日公表
働く人5人以上の事業所。給料(現金給与総額)は前の年の同じ月より3.8%増、物価(持家の帰属家賃を除く総合)は2.2%上昇、実質賃金は1.5%増。2026年は1月から8月まで8か月続けてプラス、2025年は12か月ぜんぶマイナス、2024年12月は+0.3%。速報の数字のため、あとで出る確報で少し変わることがあります
→ 結果のページ - 厚生労働省「令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査」
常用労働者100人以上の民営企業が対象。2025年に1人平均の賃金を引き上げた・引き上げる会社は91.5%
→ 結果の概要のページ
- トヨタ自動車「トヨタウェイ2020/トヨタ行動指針」
10項目のうち「ものをよく観る」「技能を磨く」「改善を続ける」を本文で引きました
→ 公式ページ - Netflix「Netflix Culture」
本文の「率直に意見を言い合うこと」「変化にすばやく合わせること」は、このページの Candor(率直さ)と Resilience(変化への適応)の項目を書き手の言葉にしたものです
→ 公式ページ
- 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」2026年10月2日公表
有効求人倍率(季節調整値)1.18倍、正社員の有効求人倍率1.00倍。有効求人倍率は、仕事を探している人1人あたりの求人の数
→ 報道発表のページ






