転職は、いつ考えればいいのでしょうか。

    • 「給料には不満がある。でも、人間関係は悪くない」
    • 「この会社にいても成長できない気がする。でも、転職して失敗するのも怖い」
    • 「まだ3か月なのに辞めたら、恩知らずだと思われないか。周りにも迷惑がかかる」

そもそも今しんどいのは、会社のせいなのか。

それとも、自分の甘えなのか。

「辞めたい!」まで振り切れていない人は、多いと思います。

なかなか
私もそうでした。

どこまでが「どこの会社にもあること」で、どこからが「もう動いたほうがいい」なのか。

その線が、自分では引けませんでした。

「転職したほうがいいのかな」で止まっている人へ

転職したほうがいいのかなと止まっている人に向けて、8つの質問ではいが多いほど転職を考える時期に近いことを、迷いから答えへの流れで示した見出し画像

そんな人に、知っておいてほしい考え方があります。

アメリカの経済誌 Forbes(フォーブス)の日本版に、2023年5月8日に載った記事です。

題は、「これらの問いの答えが『はい』なら転職のタイミング」。

転職を考える目安として、8つの質問が紹介されています。

  • 満足感がまるでない?
  • 社内に自分の未来はないと感じる?
  • ワークライフバランスがとれていない?
  • 有害な職場環境から抜け出せない?
  • 努力が評価されていない?
  • インフレが経済的なストレスになっている?
  • 企業文化に違和感や不満がある?
  • 上司や経営陣を信用できない?
— Forbes JAPAN「これらの問いの答えが『はい』なら転職のタイミング」(2023年5月8日)
    • 1個でも当てはまったら、今すぐ会社を辞めろ。

そういう話ではありません。

「転職を考え始める8つのサイン」です。

「はい」が多いほど、転職を考える時期に近い。

これが、私の見方です。

好きな場所で、好きな仕事をして働く。

それは、誰もが思い描く理想だと思います。

そのためには、「働いてはいけない場所」を知っておくことが大事です。

    • 同じような仕事なのに、A社では夜遅くまで働いて、給料は安い。
    • B社では定時で帰れて、給料は高い。

本当に、そういうことが起こります。

ここからは、8つの質問を1つずつ。

私の場合はどうかも、添えていきます。

質問1. 満足感がまるでない?

満足感がまるでないかを見る質問1について、大変だけどこの仕事が好きならいいえ、この1週間にやってよかったと思えた瞬間が1つもないならはい、という見分けかたを示した見出し画像

1つ目の質問です。

「今の仕事に、満足感がまるでない?」

見てほしいのは、「まるで」のところです。

仕事をしていると、仕事量が多くて追い詰められることがあります。

めちゃくちゃしんどい時も、あると思います。

それでも、「大変だけど満足感はある」ということは、あるんです。

私の場合は、1つの案件が終わったとき。

上司や同僚と、喜びを共有できます。

自分が関わった仕事の成果が、ちゃんと見えたとき。

「やってよかったな」となります。

山登りと同じです。

登っている時はつらくても、頂上の景色が見えたら「登ってきてよかった」となる。

だから、満足感がないということはありません。

不満は、あります。

もう辞めようかな、と思うこともあります。

でも、総合的には、この仕事が好きです。

お客さんに笑顔で名前を呼ばれたり、ご家族から感謝されたりしたとき。

「この仕事自体は好きなんだよな」と思う瞬間が、あったりします。

「大変だけど、この仕事が好き」。

これなら、この質問の答えは「いいえ」。

満足感がまったくない、というのは、それとは別です。

「この仕事を何のためにやっているのか」が、分からなくなっている状態です。

嫌なところがある、というより、「いいところがもう感じられない」。

この質問は、仕事を続ける理由がまだ残っているかを見る質問だと思います。

目安は、この1週間です。

「やってよかった」と思えた瞬間が、1つでもあったかどうか。

1つもないなら、この質問は「はい」です。

満足感が何もなくなると、モチベーションもなくなる。

ただただ、作業をこなすだけになります。

新人のころは、「もっと勉強しよう」「新しいことを覚えよう」と思うものです。

それが、いつからか「割に合わないな」に変わる。

満足感が何もなくなると、やる気がなくなり、ただ仕事をこなすだけになり、スキルも身につかないという悪循環を、1周して戻る輪で示した図解

どんどんやる気がなくなって、ただ仕事をこなすだけになる。

そうすると、スキルも身につかない。

そういう悪循環に入ります。

植物に水をあげない状態が続くと、枯れてしまうのと同じです。

質問2. 社内に自分の未来はないと感じる?

社内に自分の未来はないと感じるかを見る質問2について、今ここで頑張ったら来年・3年後・5年後と良くなるイメージが持てるかを、横にのびる矢印で示した見出し画像

2つ目の質問です。

「社内に、自分の未来はないと感じる?」

言い換えると、こうです。

今ここで頑張ったら、来年・3年後・5年後と、良くなるイメージが持てるか。

今はまだ、同期で3番目。

でも、1位を取れば賞与が増える。

だから、もうちょっとやろう。

主任になったら、大きなお客さんを任せてもらえる。

そういう「何か」があるか、です。

友人から、相談を受けたことがあります。

毎日、ほぼ同じ仕事の繰り返し。

先輩を見ると、残業して、たまに飲みに行って、仕事の愚痴をずっと言っている。

「自分も、ああなるのか」。

このままでいいのかな、と。

    • 「頑張っても、あんなふうにしかなれないのか」。
    • 「どれだけ表彰されても、給料は変わらないのか」。

そうなると、「ここで頑張ってもしょうがない」になります。

仕事へのやる気が、減っていく。

社内に自分の未来があるかを見る目安2つ、今頑張ったら給料・仕事・役職のどれかは良くなりそうか、5年後の先輩を見て自分もこうなりたいと思えるかを並べた図解

目安は、2つです。

    • 今頑張ったら、給料・仕事・役職のどれかは、良くなりそうか。
    • 5年後の先輩を見て、「自分もこうなりたい」と思えるか。

「この大変さの先に、何もない」。

そう思ったときにも、人は頑張れなくなります。

なかなか
私もそうでした。

昇格が実力だけでは決まらず、年功序列の影響も大きいと分かったとき。

「ここで頑張ってもな」と、なりました。

先輩や、45歳の上司の年収を知ったときも、同じでした。

昇進しても、給料は1円も上がらなかった。

この質問は、「はい」でした。

希望の部署がある。

職種や役職を変えたい。

その希望が何年も叶わないと、「待っていたら、いつか」が「たぶん、ずっとこのままだな」に変わります。

こんな環境では、仕事のやりがいがなくなって、楽しくなくなる。

数字でも、出ています。

転職した理由の順位と割合、給与が低い・昇給が見込めない36.6%から昇進・キャリアアップが望めない18.7%までの8つを、どの質問の話かと一緒に表にした図解

転職サイトの doda(デューダ)が、2024年7月〜2025年6月に転職した978人に聞いた調査です。

転職した理由の1位は「給与が低い・昇給が見込めない」で、36.6%。

3位は「個人の成果で評価されない」で、22.8%。

「昇進・キャリアアップが望めない」も18.7%で、トップ10に入っています。

何年頑張っても、給料が上がらない。

何度希望を出しても、異動はかなわないまま。

成果を出しても、評価されない。

これが続くと、「次こそ頑張ろう」ではなく、「頑張ってもどうせ無駄だ」になります。

そして、何もやらなくなっていく。

こわいのは、ここからです。

「今の会社がダメ」ではなく、いつの間にか「会社って、どこもこんなもんでしょ」と思うようになる。

なかなか
私も、転職してから初めて「会社によって、こんなに違うんだ」と実感しました。

転職しなかったら、知らないままだったことが、たくさんあります。

まだ応募すらしていないのに、今の会社で覚えた常識を、世の中全部に当てはめてしまう。

1社か数社しか知らないのだから、分からなくて当たり前です。

今いる会社の常識が、世の中の常識とは限りません。

今の会社にいる5年後の自分と、上司の姿を、1度見てみてください。

質問3. ワークライフバランスがとれていない?

ワークライフバランスがとれていないかを見る質問3について、平日・土曜日・日曜日の過ごし方と、終わりが見えている忙しさならいいえ・いつまでが無いまま続いているならはいの見分けかたを示した見出し画像

3つ目の質問です。

「ワークライフバランスがとれていない?」

言い換えると、今の働き方を、ずっと続けていけるか、です。

繁忙期で、1か月だけ毎日22時まで働く。

それなら、「今だけだから頑張ろう」と走れる人は多いと思います。

でも、これが来月も、来年も、5年後も続く。

となると、「無理かも」となりますよね。

家族の時間も、そうです。

    • 「子どもの寝顔しか見られない」。

このままでは無理かも、となります。

ワークライフバランスを気にするのは、「ずっと続けていけるか」を見ること。

20代なら、気合いでできる。

でも、30代、40代になると、無理かも。

「生活を犠牲にしてまで、この仕事を続ける意味はあるのか」と、考えることもあると思います。

「できる」と「続けられる」は、別です。

    • 平日は、帰ったら寝るだけ。
    • 土曜日は、疲れて寝ている。
    • 日曜日は、月曜日のことを考えている。

これをずっと続けると、何のために仕事をして、生活しているのか、分からなくなります。

ワークライフバランスを考えなくなると、倒れてしまうことがあります。

100メートルは速く走れても、マラソンだったら持たない。

いいペースで、走り続けられるか。

そういうことだと思います。

ワークライフバランスがとれていない人は、いつかしんどくなります。

もちろん、ワークライフバランス=毎日ゆるく働くこと、ではありません。

新規プロジェクトの立ち上げ、決算、繁忙期、大きなプレゼンの前。

なかなか
私にも、忙しい時期はあります。

でも、それがずっと続くと、走り続けられないと思うんです。

終わりが見えている忙しさなら、この質問は「いいえ」。

「いつまで」が無いまま続いているなら、「はい」です。

数字でも、出ています。

同じ doda の調査で、「労働時間に不満(残業が多い・休日出勤がある)」は26.3%で、転職した理由の2位でした。

残業の時間で見る、国の目安も1つ。

国の労災の基準で、残業が月45時間を超えて長くなるほど脳や心臓の病気との関係が強まり、2〜6か月の平均でおおむね月80時間か1か月でおおむね100時間を超えると関係が強いと判断されることを、ものさしで示した図解

国(厚生労働省)の労災の基準では、残業が長くなるほど、脳や心臓の病気との関係が強まるとされています。

(残業=1週間に40時間を超えて働いた時間)

月45時間を超えると、長くなるほど関係が強まります。

2〜6か月の平均でおおむね月80時間を超えると、関係が強いと判断されます。

1か月でおおむね100時間を超えたときも、関係が強いと判断されます。

給与明細や勤怠の記録で、自分の残業時間を1度数えてみてください。

体調につながるような環境にいる人は、早く転職を考えたほうがいい。

そう思います。

転職だけでなく、まず休むことも、選択肢に入れてください。

質問4. 有害な職場環境から抜け出せない?

有害な職場環境から抜け出せないかを見る質問4について、嫌な人がいる職場ではなく会社そのものが有害な職場という意味だと、やってはいけないこと・違法行為・言っても変わらないの3つで示した見出し画像

4つ目の質問です。

「有害な職場環境から抜け出せない?」

嫌な人がいる職場、ということではありません。

会社そのものが有害な職場、という意味です。

    • 「異動させてほしい」。
    • 「過度な叱責や、雑な指示をやめてほしい」。

何度も相談しても、結局、何も変わらなかった。

大きな問題があるままで、それを放置している。

その会社まで含めて、問題です。

職場に、自分の味方が1人もいない。

道徳的・倫理的に、やってはいけないこと。

違法行為。

「これはやめるべきだ」と言っても、変わらない。

これが、有害な職場です。

なかなか
私にも、あります。

不動産の仕事で、「本当は、このお客さんには合わない」と思っている物件。

それでも、「余計なことは言わず、契約を取れ」と言われる。

知識を身につければ身につけるほど、「ここで働き続けると、自分が嫌いになりそう」。

そんな感覚になったことがあります。

「嫌な人がいるか」も、そうです。

でも、「嫌なことが起きたとき、会社が守ってくれるか」も、大事なこと。

ここで1つ、線引きがあります。

有害な職場かどうかの線引きとして、上司が変われば終わる・異動すればまともな部署があるならいいえに近く、異動先も同じだったならはいだと、2つの流れで示した図解

上司が変われば終わる。

異動すれば、まともな部署がある。

それなら、この質問は「いいえ」に近いです。

でも、異動すれば解決する、と思ったのに、異動先も同じだった。

そういう場合は「はい」。

もう転職したほうがいいと思います。

なかなか
私自身、転職して分かりました。

職場環境がものすごく悪いと、質問ができないんです。

    • 「は? 前にも教えたよね?」

もう、「すみません」としか言えない。

職場を変えると、「どこまで分かった? 一緒に確認しよう」と言ってくれる。

そのとき、やっぱりあの環境はおかしかった、と分かりました。

職場に慣れてしまっている人も、いると思います。

パワハラや、怒鳴り声があっても、何も言えない。

国の調査で過去3年間にパワハラを受けた人は19.3%で5人に1人、受けたあと何もしなかった人は36.9%でいちばん多い答えだったことを示した図解

国(厚生労働省)が2023年度に、働く人8,000人に聞いた調査があります。

パワハラを受けたあと「何もしなかった」人が、36.9%で、いちばん多い答えでした。

慣れてしまうと、動けなくなる。

でも、そんな職場だけじゃない、ということを知ってほしい。

同じ調査で、過去3年間にパワハラを受けた人は、19.3%でした。

5人に1人。

裏を返せば、5人に4人は「受けていない」と答えています。

怒鳴られるのが毎日、という職場は、当たり前ではない。

転職だけが出口ではありません。

国の相談窓口(総合労働相談コーナー)は、無料で、誰でも使えます。

それでも、会社が変わらないなら。

これは、勇気を出して抜け出して、としか言えません。

私は、スキルを磨いたり、転職したりして、違う世界になりました。

「本当に人生が変わった」と言えるくらいに。

だから、踏み出してほしい。

質問5. 努力が評価されていない?

努力が評価されていないかを見る質問5について、本人が努力したと言っても実際に成果が出ているかは別だということを、つり合った天びんで示した見出し画像

5つ目の質問です。

「努力が評価されていない?」

これは、難しい質問です。

本人は「努力した」と言っても、実際に成果が出ているかは、別だからです。

勉強を、これだけがんばりました。

でも、テストの点数は0点です。

これだと、やっぱり評価は難しい。

でも、「これだけがんばったのは評価してほしい」という気持ちも、もちろんあると思います。

一生懸命なのは、分かる。

でも、評価したいのは、そこじゃない。

社員は自分がどれだけ頑張ったかを評価してほしく、上司はチーム全体がどう良くなったかを評価したかったという評価のズレを、行き先のずれた2本の矢印で示した図解

    • 社員は「自分がどれだけ頑張ったか」を評価してほしかった。
    • 上司は「チーム全体がどう良くなったか」を評価したかった。

こういうズレは、あると思います。

社員を大切に思っていることと、社員を正確に評価できることは、また別です。

数字でも、出ています。

株式会社日本経営が2026年2月に、評価制度のある中小企業(従業員50〜299人)の経営者に聞いた調査です。

評価の運用で困っていることを複数選ぶ質問では、「評価者による評価のばらつき」が63.8%で、いちばん多い答えでした。

「評価制度が完全に機能している」と答えたのは、106人のうち18.9%です。

働く側の数字も、あります。

同じ doda の調査では、「個人の成果で評価されない」が22.8%で、転職した理由の3位。

「会社の評価方法に不満があった」が19.7%で、7位でした。

お互いにちゃんと納得できるか、も大事です。

でも、誠意があるかは、分かります。

「ただがんばった」ではなく、こう聞いてみます。

なぜB評価なのかと聞いたときの上司の返し方を、総合的に判断したからで終わる返し方と、ありがとうと理由と来期の話を伝える返し方の2つで見比べる図解

「今年は売上目標を120%達成しました。なぜB評価なのでしょうか?」

上司「まあ、総合的に判断したから」。

「A評価になるには、何を改善すればいいですか?」

上司「評価に文句を言う前に、もっと頑張って」。

これだと、あまりに仕事に敬意がないですよね。

同じ質問に、こう返ってきたら、どうでしょう。

上司「まず、売上を達成してくれたことは本当に助かった。ありがとう」。

「ただ、利益率が目標に届かなかったことと、後輩育成の項目でB評価になったんだ」。

「来期は利益率も意識してみよう。必要なら私も一緒に対策を考えるよ」。

これなら、少しは納得できますよね。

    • 「今回の成果は、ちゃんと見ていたよ」。
    • 「今回の判断に納得できない部分があれば、聞かせて」。

真剣に向き合ってくれるかどうか、です。

    • 「評価に文句があるなら辞めれば? 代わりなんていくらでもいる」。

こういう言葉が繰り返されるなら、社員は尊重されていません。

向き合ってくれるなら、この質問は「いいえ」。

「辞めれば?」が繰り返されるなら、「はい」です。

「今の場所で工夫する」と「自分に合う場所を探す」。

両方とも、大事です。

でも、真剣に向き合ってくれない所で、「もっとがんばれば評価される」と期待するより。

ちゃんと向き合ってくれる所で、がんばるほうがいい。

今、通っている所だけが、会社ではありません。

知らないだけで、自分に合う場所はあります。

自分の側でできることは、がんばっても評価されない人へ。評価されるための3つのことに書きました。

質問6. インフレが経済的なストレスになっている?

インフレが経済的なストレスになっているかを見る質問6について、去年今年と給料は上がったか、物価の分に届いているかを順にたどり、いいえとはいに分かれる見分けかたを示した見出し画像

6つ目の質問です。

「インフレが経済的なストレスになっている?」

給料は減っていないのに、なぜか生活がどんどん苦しくなっていく。

そういう感覚のことです。

去年と同じ仕事をして、去年と同じ給料をもらっている。

それだけなのに、実質的には貧しくなっていく。

これからも物価が上がる中で、自分の会社は給料を上げていけるのか。

ここが、大事な点です。

給料には、「名目賃金」と「実質賃金」があります。

月給30万円の人の給料が3%増えても、物価が5%上がっていれば実質賃金はざっくり2%のマイナスになることを、名目賃金と実質賃金の例で示した図解

例えば、月給30万円の会社員がいるとします。

給料が3%増えると、30万9,000円。

「9,000円増えた。うれしい」となるかもしれません。

でも、同じ期間に物価が5%上がっていたら。

ざっくり、5−3で、実質賃金は2%のマイナスです。

分かりやすくすると、30万円で買えていたものが、5%上がって31万5,000円。

「昇給したのに、去年と同じ生活ができない」。

そういうことが、起きてしまいます。

この実質賃金は、つい最近までずっとマイナスでした。

最近、やっとプラスになりました。

国の数字で、見てみます。

実質賃金がつい最近までずっとマイナスで、2025年のマイナスから2026年にやっとプラスになった向きを1本の線で示した図解

厚生労働省の毎月勤労統計調査では、2025年は1月から12月まで、12か月ぜんぶマイナスでした。

2026年1月に、13か月ぶりにプラスになりました。

インフレが怖いのは、自分が気づかないうちに、財布からお金を抜かれていることです。

    • 「あれ、お米が高い」「このお菓子、前はもっと安かったよな」。
    • 「宿泊費、高っ」「ガソリンも高い」「外食も結構かかる」。

何か1つは、感じたことがあると思います。

もともと無駄づかいをしていない人ほど、節約だけで物価の上昇に対応するのには限界があります。

「なかなか貯金が増えないな」という人も、いるかもしれません。

これを解決するには、インフレ以上に賃上げできる会社か。

ここが、大事になってきます。

同じ調査の、最新の2026年8月分(速報)では、給料が3.8%増、物価が2.2%上昇。

物価の分を引いた実質賃金は、1.5%の増加でした。

2026年は1月から8月まで、8か月続けてプラスになっています。

これを聞いて、「えっ、そうなの?」「全然変わっていない」と思う人も、いるはずです。

それが、転職を考えるタイミングです。

従業員100人以上の会社では、91.5%が2025年に1人平均の賃金を上げた、または上げる予定と答えました(厚生労働省の調査)。

そんな中で何年も据え置きなら、周りの会社と比べてみる価値はあります。

私の友人にも、営業成績1位なのに、基本給が全然上がらなかった人がいます。

手取りは月20万円未満で、賞与もなし。

そこで、私と話したり、転職について調べたりして、ITエンジニアに転職しました。

年収は、120万円アップしました。

もちろん、単に会社を変えただけではありません。

営業成績1位を取るくらいなので、勉強もしています。

本人は、「社内に自分の未来が見えない」と言っていました。

2つ目の質問と、つながっています。

「賃上げしてあげたい。でも、材料費などもろもろ上がっている」。

そういう会社側の事情も、あると思います。

それでも、まずは賃上げができる会社かどうか。

そして、賃上げしてくれるか。

これは、やっぱりあります。

去年、今年と、給料は上がりましたか。

上がったなら、物価の分に届いていますか。

届いているなら、この質問は「いいえ」。

何年も据え置きなら、「はい」です。

何年も賃上げされず、これからも改善する見込みがないなら。

会社の事情が変わるのを待つだけでなく、ほかの会社に目を向けてみたほうがいい。

質問7. 企業文化に違和感や不満がある?

企業文化に違和感や不満があるかを見る質問7について、社内イベントや社歌などの毎日の習慣を並べ、会社が大事にしていることを自分も大事だと思えるかで見分けることを示した見出し画像

7つ目の質問です。

「企業文化に違和感や不満がある?」

企業文化の質問でいう不満は会社の価値観が自分と合わないことで、日々の仕事への不満とも有害な職場とも別の話だと、かみ合わない歯車で示した図解

まず、この質問の「不満」は、「会社の価値観が自分と合わないこと」です。

日々の「仕事への不満」とは、まったく別の問題だと考えてください。

不満があるたびに転職していたら、きりがありません。

「あの上司、ちょっと苦手だな」で、すぐ転職するのも同じです。

上司そのものの話は、次の8つ目の質問で。

でも、企業の文化となると、話は変わります。

価値観が合わない人と、ずっとつき合っていくのはつらいですよね。

会社には、企業理念や行動指針があります。

    • Netflixなら、率直に意見を言い合うこと、変化にすばやく合わせること。
    • トヨタ自動車なら「改善を続ける」「技能を磨く」「ものをよく観る」。
    • 「昨日うまくできていたのに、今日も改善するの?」
    • 「毎日もっと良くしようと考えるのは、疲れるな」。

そう感じたら、その会社には合っていません。

理念や指針なんて知らない、という人もいると思います。

毎朝、朝礼で言っているだけで、中身をイメージしていない。

そういう会社も、あるかもしれません。

その場合は、毎日の習慣を見てください。

    • 社内イベントや社員どうしの集まりが、とても多い。
    • 朝のラジオ体操・社訓をみんなで唱える・社歌・年功序列。
    • 上の人の考えどおりに動く空気。
    • 毎日成果を求められて、プレッシャーを感じる。

これは、企業文化に合っているか、合っていないか、という話です。

どの企業文化が正しいか、という話ではありません。

4つ目の質問の「有害な職場」とも、別の話です。

合わないのは、会社も自分も悪くないのに、かみ合っていない状態のことを言います。

同じ doda の調査を、見てみます。

「社内の雰囲気が悪い」が、転職理由の5位(20.7%)でした。

およそ5人に1人は、社内の雰囲気を理由に、転職しています。

今の会社の企業文化には合っていないけれど、ほかの会社では合っている。

そういうことは、よくあります。

「なにがなんでも全国大会に行くぞ」と燃えていて、試合に勝つことがなによりの目標の部活。

勝てればうれしいけれど、楽しむことが目標で、練習は週3日。

勉強や遊びの時間も大事にする部活。

どちらがいい悪い、ということではありません。

働くことは、日常の一部です。

相性や価値観が、合っているかどうか。

何か違和感があると、やっぱり「違うな」となるものです。

そして、しんどくなります。

恋愛でも、好きだけれど、価値観の合わない人とつき合い続けると、しんどくなります。

結婚して、将来は子どももほしい人と、今は仕事をがんばりたくて、子どもを持つことに前向きではない人。

やっぱり、合いません。

見分けかたは、1つです。

会社が大事にしていることを、自分も「大事だ」と思えるか。

思えるなら、不満があっても、この質問は「いいえ」。

会社が大事にしていることに、ずっと違和感があるなら、「はい」です。

働くにあたって、企業文化が合わない。

そうなったら、転職を考えるときです。

質問8. 上司や経営陣を信用できない?

上司や経営陣を信用できないかを見る質問8について、好き嫌いではなく信用できるかを見ること、この人たちの決めたことに自分の3年後をあずけられるかで見分けることを示した見出し画像

8つ目の質問です。

「上司や経営陣を信用できない?」

7つ目の質問で、「あの上司、苦手だな」で転職するのは違う、と書きました。

この質問で見るのは、好き嫌いではなく、「信用できるか」です。

どんな上司の下で働くことになるかは、自分では決められません。

働く環境は、とてつもなく大事です。

そして上司は、同じ会社にいるかぎり、自分から変えることがむずかしい相手です。

なかなか
私も、必死に作った資料がありました。

それを上司が、社長や会長に「自分で全部作った」と説明していました。

アイデアまで、上司の手柄でした。

「上司を変えてください」と言っても、変わるかはわかりません。

どの部署に行っても、同じです。

上司が変わっても、次の上司がいい人かは、またわかりません。

私の場合は上司が複数いたので、良い上司もいれば、嫌な上司もいました。

だから、まだ我慢できました。

でも、経営陣は、なかなか変わりません。

クラスの担任が変わっても、教頭先生や校長先生の考え方は変わらないのと同じです。

校長先生の考え方が信用できないと、学校全体のルールは変わっていきませんよね。

経営者には、権限があります。

社員がちょっとがんばったくらいでは、変えられません。

なかなか
私も、経営者と面談したことがあります。

「ここの機械はもう何十年も前のものなので、入れかえを検討してほしい」と伝えました。

「そうすれば、生産性をこれくらい上げられます」と、提案もしました。

そのときは「みんなから機械の意見が出ているので、前向きに検討する」という返事でした。

結局、何も変わりませんでした。

変わらないこと自体は、しかたがありません。

でも、「今の機械で生産性を上げろ」と怒られました。

「ほかの人は、そんなことを言い訳にしていない」とも言われました。

経営陣の考え方や軸は、なかなか変わらないものです。

経営陣が変わらなかった話は、もう1つあります。

時間の決まりの関係で、タイムカードを切ったあとに仕事をすることがありました。

もちろん、よくないことです。

仕事を終わらせようと、がんばっていたつもりでした。

それでも、経営者の意見として「もっと早く終わらせろ」と、上司から怒られました。

「言うことは、ずっと変わらないんだな」と思いました。

doda の調査にも、出ています。

「尊敬できる人がいない」が、転職理由の4位(20.9%)でした。

「業界・会社の先行きが不安」も、9位(19.0%)です。

職場の人や会社の行く先に不安を持つことは、転職の理由として、めずらしくありません。

やっぱり、他人を変えることはむずかしいです。

上司や経営者が変わってくれるのを待つ人生と、自分がどう行動するかを自分で決めて信用できる経営陣や上司を探しに行く人生を、分かれ道で示した図解

でも、自分がどう行動するかは、自分で決められます。

    • 「あの上司さえ変わってくれれば」「経営者がもっとこうなったら」。

そう願って何とかするより、「この上司や経営者とは合わない」と、別を探してみるほうがいいです。

もちろん、次の職場に良い上司がいるか、経営陣を信用できるかは、わかりません。

それでも、動かないほうが、よほど変わりません。

信用できない経営者や上司に、何とか評価されよう、変えようとするより。

信用できる経営陣や上司を、探しに行きましょう。

付き合える会社の候補は、たくさんあります。

今の会社に、こだわりすぎなくていいです。

人付き合いでも、相手の性格を無理やり変えるのではなく、自分の行動や距離の取り方を変えますよね。

「変わってくれるのを待つ人生」と「自分から動く人生」の違いです。

いろいろ見てみて、気づくこともあります。

    • 「会社という組織は、どこでも細かい報告が必要なんだな」。
    • 「どの会社でも、自分に合うものはないのかな」。
    • 「自分にも、少し問題があるのか?」。

そういうことも、動いてみてわかります。

8つの質問の元の記事は、「まず上司や人事と話し合って、改善できないか確かめよう」と書いています。

私は面談で伝えました。

それでも、変わりませんでした。

見分けかたは、1つです。

この人たちの決めたことに、自分の3年後をあずけられるか。

苦手でも、決めたことは筋が通っている、と思えるなら「いいえ」。

伝えても変わらず、あずけられないなら、「はい」です。

信用できない人の運転やガイドに、任せていけますか?

だから、これも転職のタイミングです。

まとめ

まとめとして、8つの質問を半年に1回自分に聞いてみること、どう動けばいいか分からない人は転職エージェントに軽い聞き方で相談してよいことを示した見出し画像

8つの質問を、もう一度ならべます。

  • 満足感がまるでない?
  • 社内に自分の未来はないと感じる?
  • ワークライフバランスがとれていない?
  • 有害な職場環境から抜け出せない?
  • 努力が評価されていない?
  • インフレが経済的なストレスになっている?
  • 企業文化に違和感や不満がある?
  • 上司や経営陣を信用できない?
— Forbes JAPAN「これらの問いの答えが『はい』なら転職のタイミング」(2023年5月8日)

8つの質問のうち、はいが半分の4個以上なら身の振り方を考える時期だと思うこと、ただし3つ目と4つ目は数に関係なく相談窓口に話すところから始めることを示した図解

「はい」は、いくつありましたか。

半分の4個以上なら、身の振り方を考える時期だと思います。

これが、私の見方です。

ただし、3つ目と4つ目は別です。

体調を崩すほどの残業や、パワハラが続いているなら、数に関係なく、まず相談窓口に話すところから始めてください。

「はい」が多かった人に、知っておいてほしいことが1つあります。

転職と、転職活動は、別のものです。

転職にはリスクがあるが、転職活動にはリスクがなく、条件のいい会社が無ければやめたでいいので、あとから決められることを示した図解

転職には、リスクがあります。

でも、転職活動には、リスクがありません。

求人を見て、話を聞いて、今より条件のいい会社が無ければ、「やめた」でいいからです。

あとから決められるのが、転職活動です。

いま、求人は少なくありません。

厚生労働省の発表では、2026年8月の有効求人倍率は1.18倍でした。

仕事を探している人1人に、求人が1.18件ある、という意味です。

正社員だけで見ても、1.00倍でした。

どう動けばいいか分からない人は、転職エージェント(=求人を紹介してくれる会社)に相談してみてください。

「こんな経歴があるのですが、どんな求人がありますか」の、軽い聞き方で大丈夫です。

相談すると何が分かるか(私が相談したときの話)

→ 年収60万円アップでわかった「給料=自分の価値」ではない理由

「する」と決める前に見ること

→ 転職を考え始めた人へ。「する」と決める前に見る3つのこと

「辞めたい!」まで振り切れていなくても、いいと思います。

8つの質問を、半年に1回、自分に聞いてみてください。

参考にした主な出典

8つの質問の元になった記事
  • Forbes JAPAN「これらの問いの答えが『はい』なら転職のタイミング」Jack Kelly、2023年5月8日
    転職を考える目安になる8つの問い。この記事の質問1〜8は、この記事の見出しをそのまま使いました。「はい」の数の目安は元の記事には無く、書き手の見方です
    → 記事のページ
転職した人の理由
  • doda「転職理由ランキング」
    2024年7月〜2025年6月に転職した20〜59歳の正社員978人に聞いた調査。「給与が低い・昇給が見込めない」36.6%で1位、「労働時間に不満」26.3%で2位、「個人の成果で評価されない」22.8%で3位、「尊敬できる人がいない」20.9%で4位、「社内の雰囲気が悪い」20.7%で5位、「会社の評価方法に不満があった」19.7%で7位、「業界・会社の先行きが不安」19.0%で9位、「昇進・キャリアアップが望めない」18.7%。2026年2月16日更新のページを2026年10月13日に確認
    → ページ
残業と病気の関係
  • 厚生労働省「脳・心臓疾患の労災認定基準」パンフレット
    残業が月45時間を超えて長くなるほど、脳や心臓の病気との関係が強まる。2〜6か月の平均でおおむね月80時間を超えるか、1か月でおおむね100時間を超えると、関係が強いと判断される。ここでの残業=1週間に40時間を超えて働いた時間
    → パンフレットのPDF
職場のハラスメント
  • 厚生労働省「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)」2024年3月
    働く人8,000人への調査。過去3年間にパワハラを受けた人は19.3%。受けたあとの行動は「何もしなかった」が36.9%でいちばん多い
    → 概要版のPDF
  • 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」
    各都道府県の労働局や労働基準監督署などにある相談窓口。予約不要・無料。2026年10月14日確認
    → 案内のページ
評価のばらつき
  • 株式会社日本経営の調査、PR TIMES で2026年5月15日発表
    2026年2月13日〜16日に、評価制度のある従業員50〜299人の中小企業の経営者106人に聞いた。評価の運用の課題(複数回答)で「評価者による評価のばらつき」が63.8%で最多、「評価制度が完全に機能している」と答えた人は18.9%
    → 発表のページ
給料と物価
  • 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和8年8月分結果速報」2026年10月7日公表
    働く人5人以上の事業所。給料(現金給与総額)は前の年の同じ月より3.8%増、物価(持家の帰属家賃を除く総合)は2.2%上昇、実質賃金は1.5%増。2026年は1月から8月まで8か月続けてプラス、2025年は12か月ぜんぶマイナス、2024年12月は+0.3%。速報の数字のため、あとで出る確報で少し変わることがあります
    → 結果のページ
  • 厚生労働省「令和7年 賃金引上げ等の実態に関する調査」
    常用労働者100人以上の民営企業が対象。2025年に1人平均の賃金を引き上げた・引き上げる会社は91.5%
    → 結果の概要のページ
企業文化の例
  • トヨタ自動車「トヨタウェイ2020/トヨタ行動指針」
    10項目のうち「ものをよく観る」「技能を磨く」「改善を続ける」を本文で引きました
    → 公式ページ
  • Netflix「Netflix Culture」
    本文の「率直に意見を言い合うこと」「変化にすばやく合わせること」は、このページの Candor(率直さ)と Resilience(変化への適応)の項目を書き手の言葉にしたものです
    → 公式ページ
求人の数
  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」2026年10月2日公表
    有効求人倍率(季節調整値)1.18倍、正社員の有効求人倍率1.00倍。有効求人倍率は、仕事を探している人1人あたりの求人の数
    → 報道発表のページ