転職を考えはじめた人が、よく口にする言葉です。
でも、いまは、会社のほうが経験のある人をさがしている時期です。この記事は、転職を考えはじめたけれど、まだ動いていない人に向けて書きました。
会社の採用の動き、求人の数、動くときの考え方を見ていきます。
材料は、国や調査の数字と、不動産営業から転職した私の体験です。
読み終わる頃には、次の3つが分かります。
会社のほうが「経験のある人」をさがしている

「会社は新卒で入って、そのまま定年まではたらくもの」。
この日本の常識が、少しずつ変わってきています。
いまや、大きな会社の採用の計画は、半分より多くが中途採用です。
中途採用とは、新卒ではなく、はたらいた経験のある人をとることです。

日本経済新聞が、毎年春に、大きな会社へ採用の計画を聞いています。
そのなかで、中途採用のわりあいはこう変わりました。
2年で7ポイント上がり、はじめて半分をこえました。
会社も、「新卒から育てた人だけでがんばる」のをやめはじめました。
「ほかの会社で経験をつんだ人にも来てほしい」と考えるようになっています。
これは、「転職しやすい時代になった」というだけの話ではありません。
はたらく側も、会社を選びなおせる可能性が広がっている。
そういう話です。
私の周りにも、私と話して転職した人が何人もいます。
多くの人が、ちがう業界や職種へ移っています。
転職した人の数も、見てみましょう。
厚生労働省のしらべでは、2025年に転職して新しい会社に入った人は、約506万人でした。
前の年より、約14万人ふえています。
転職したあとに給料が「ふえた」と答えた人は、40.8%。
「へった」と答えた人の31.0%より多い。
会社のほうが、経験のある人をさがしている。
だから、はたらく側にも、選びなおす余地がある。
それが、いまの転職の土台です。
1. 転職活動は、いましておいたほうがいい

答えは、いまです。
いまは、転職がしやすい時期だからです。
もちろん、しにくい時期でも、決まる人は決まります。
でも、しやすい時期のほうが、選べる会社の数がちがいます。
しにくい時期は、たとえば2020年でした。
感染症が広がって、求人がへった年です。

転職サイトの doda の数字で見ると、2020年8月は、転職したい人10人に対して、求人は約12件でした。
いまは、同じ8月で約29件あります。
2倍をこえる差です。
いまは、前の段で見たとおり、会社のほうが経験のある人をさがしています。
この追い風が、いつまで続くかは分かりません。
だから、こう考えてみてください。

「転職するかどうか」は、まだ決めなくていい。
「転職活動」は、いましておく。
会社が積極的に人をさがしているうちに、求人を見て、話を聞いておく。
いい会社がなければ、やめればいいだけです。
転職と転職活動が別のものだという話は、別の記事に書きました。
→ 転職を考え始める8つのサイン。「はい」はいくつありますか
風が吹いているうちに動いた人と、やんでから動いた人では、見える景色がちがいます。
2. 転職したい人1人に、求人は約3件

「しやすい時期」とは、どれくらいしやすいのか。
数字で見てみましょう。
転職サイトの doda は、毎月「転職求人倍率」を出しています。
求人の数を、doda に登録している転職希望者の数で割った数字です。
2026年8月は、2.86倍でした。

転職したい人が10人いたら、求人は約29件ある。
1人に、約3件です。
言いかえると、平均では、1つの席を取り合うのではなく、3つの席から選べる状態です。
ただし、これは全部の職種をならした数字です。
営業は10人に約31件ですが、事務・アシスタントは約7件と、職種によってちがいます。
この数字は、2年半前の2024年3月でも2.77倍でした。
追い風は、2年半たってもやんでいないわけです。
求人の数は、1年前にくらべて18.7%ふえました。
一方で、転職したい人の数は、ほぼ変わっていません。
会社のほうが、せっせと人をさがしている。
そのようすが、数字に出ています。
国のまとめでも、同じことが言えます。
厚生労働省の「労働経済白書」(2025年版)では、約71%の会社が「いまの事業を続けるための人手」に不足を感じていました。
あたらしい事業のための人手では、約73%です。
そのために、会社は中途採用に力を入れ、募集するときの給料も上げている。
白書は、そうまとめています。
会社のほうが、そう考えている状態です。
だから、まえなら書類選考で落とされていた人にも、チャンスが広がることがあります。
リクルートワークス研究所の調査では、2025年度に中途採用で正社員になった人のうち、31.9%が未経験者でした。
およそ3人に1人です。
マイナビが2026年9月に出した調査では、入社した人になると、経験のある人の割合が高くなります。
それでも会社は、即戦力を重視しつつ、成長意欲やポテンシャルにも目を向けている、とまとめています。
経験がすこし足りなくても、「育てればいい」と考える会社があります。
いまの自分の力で、どこまで行けるか。
それをためすのに、いまは向いている時期です。
3. いまの会社は、3つとも「ベスト」ですか

これだけ求人がある中で、1つ、聞いてみたいことがあります。
いまつとめている会社は、次の3つが、ぜんぶベストでしょうか。

たとえば、こんな気持ちです。
1つ目は待遇、2つ目は将来性、3つ目は仕事の中身です。
どれか1つでも、思いあたるところはないでしょうか。
転職した人の半分以上が、前の会社で行きづまりを感じていました。
マイナビの調査では、2025年に転職した正社員1,446人に聞いています。
そのうち52.6%が、「前の会社で、自分のキャリアに停滞感を感じていた」と答えました。
きっかけには、「毎日同じ仕事内容の繰り返し」「将来性が見えなかった」という声があがっていました。
3つともベストなら、そのままでいい。
転職を考える必要はありません。
でも、1つでも「うーん」と思うところがあるなら、ほかの会社をのぞいてみる価値があります。
転職すると決める必要はありません。
求人を見て、話を聞いて、いまの会社とくらべる。
くらべてみて、いまの会社のほうがよければ、それでいい。
転職エージェント(=求人を紹介してくれる会社)に会ったからといって、転職しないといけないわけではない。
その話は、別の記事に書きました。
→ 「自分に転職は無理」は本当?転職活動で分かる勘違い10個
ふつうの人にとって、給料を生むもとは、自分のはたらく力だけです。
家や株を持っていなくても、はたらく力は、だれにでもあります。
その力を、どこで使うか。
それを選びなおせるのが、いまの時期です。
4. 自分という商品を、安売りしない

はたらく力は、売り物です。
買い手は会社で、値段は給料です。

自分を、1人だけの会社だと思ってみてください。
社長も売り物も、自分です。
社長なら、売り物の値段を、ほかの店より安いままにはしておかないでしょう。
安く売ったぶんだけ、会社に入るお金が減るからです。
ところが、自分のことになると、安いまま置いている人がいます。
「このくらいが妥当かな」と、いまの給料を自分の値段だと思ってしまいます。
いまの給料は、いまの会社がつけた値段です。
ほかの会社がいくらをつけるかは、外に出してみないとわかりません。
外でいくらになるかの確かめ方は、こちらの記事にまとめています。
→ 年収60万円アップでわかった「給料=自分の価値」ではない理由
ここで書きたいのは、確かめたあとの話です。
安いとわかったら、そのままにしないでほしい。
安売りの差は、1年では小さく見えても、積み重なります。

たとえば、額面(=税金や社会保険料を引く前の金額)の年収が50万円ちがう2つの会社があるとします。
月にすると、4万円ほどのちがいです。
このちがいがそのまま10年続けば500万円、20年なら1,000万円になります。
安いほうに居つづけるのは、それだけのお金を受け取らずにいるのと同じです。
もちろん、どこへ行っても上がるとはかぎりません。
でも、確かめもせずに安いまま置いておく理由は、ありません。
自分の値段を、安いままにしておかない。
それが、社長である自分の仕事です。
5. 情報の入口は、2つ持つ

安売りしないと決めたら、次は動き方です。
給料を上げる方法は、転職だけではありません。
副業もあれば、いまの会社で評価を上げる道もあります。
その中で転職活動は、いまのはたらく力を、そのまま別の会社に出すだけで始められます。
新しく何かを身につける前に、試せる方法です。
情報の入口を、2つ持ってください。
1つ目は、転職エージェントです。
具体的な求人と、いまの自分の相場を教えてくれます。
エージェントの使い方は、こちらの記事に書きました。
→ 年収60万円アップの記事「ステップ1 転職エージェントに相談して現状を知る」
2つ目は、同じ業界や同じ職種で、先に転職した人です。
いま、行きたい会社ではたらいている人でもかまいません。

残業は本当に少ないのか、入ってから何に苦労したのか、どんな人が評価されているのか。
こういう中のことは、中にいる人にしか話せません。
元の同僚、取引先の人、学生のころの友だち。
ちがう会社で同じ仕事をしている人が、1人はいないでしょうか。
求人はエージェントから、中の話は人から。
2つを合わせると、条件のいい会社を選びやすくなります。
履歴書も面接も、人の力を借りるのは同じです。
1人で用意するより、人の目を通したほうが、仕上がりは上がりやすくなります。
面接の準備は、こちらの記事にまとめています。
→ 転職を考え始めた人へ。「する」と決める前に見る3つのこと
6. 満足している人、見つからない人は、副業へ

いまの会社に満足している人や、求人を見ても行きたい会社が見つからない人もいるでしょう。
そういう人は、いそいで転職しなくてかまいません。
そのときは、副業で収入をふやす番です。
始める前に、いまの会社の決まりで副業がみとめられているかは、確かめておいてください。
転職と副業のどちらを先にするか、その考え方は、こちらの記事に書きました。
→ 年収60万円アップの記事「副業・投資という道と比べると」
7. 先にうまくいった人のやり方を、素直に真似する

転職でも副業でも、やり方は同じです。
先にうまくいった人に話を聞いて、そのとおりにやる。
自分で一から考えなくていい、と言われると、物足りなく感じるかもしれません。
でも、それは目指す大きさによります。
その道で名前が知られるほどの成果を出したいなら、自分なりの工夫が要るでしょう。
年収を50万円上げたい、副業で月に数万円足したい。
このくらいなら、自分だけの新しいやり方は要らないことが多いです。
先にやった人が、どこで求人を探し、どう面接に備え、何を話したか。
それを聞いて、同じようにやるだけです。
ただ、聞いたことをそのままやるのは、かんたんなようで、むずかしい。
「自分の場合はちがうから」と、聞いたやり方を変えてしまいがちです。
変えずに、まずそのままやってみる。
うまくいった人のやり方には、うまくいった理由があることが多いからです。
5で書いた「先に転職した人」は、情報をくれる人であり、真似する相手でもあります。
聞いて、同じようにやる。
それが、近道です。
まとめ 追い風が吹いているうちに、動いておく

この記事で見てきたことを、もう一度ならべます。
大きな会社の採用の計画は、半分より多くが中途採用になりました。
会社のほうが、ほかの会社で経験をつんだ人をさがしています。
ただし、追い風は、ずっと吹いているわけではありません。
2020年のように、求人が大きくへった年もありました。
だから、風が吹いているうちに動いておく。
転職するかどうかは、まだ決めなくていい。

求人を見て、エージェントに相談し、先に転職した人に聞く。
ここまでなら、いまの会社にいたまま、できます。
そのうえで「いまの会社のほうがいい」と分かったなら、それも1つの答えです。
確かめたから言える答えだからです。
この時期を、ようすを見るだけで終わらせないでください。
まずは、求人を1件、見るところからです。
参考にした主な出典
中途採用がふえていること-
日本経済新聞「採用計画調査」
主要企業に、翌年度の採用計画を毎年春に聞く調査。採用計画に占める中途採用の比率は、2024年度43.0%、2025年度46.8%、2026年度50.3%。2026年度は5,277社に聞き、2,200社を集計。記事の読める範囲で確認、2026年10月17日
→ 2024年度の記事・2025年度の記事・2026年度の記事 -
厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」2026年8月31日公表
2025年の転職入職者は506万1,800人で、前年より14万1,800人ふえた。パートタイムで働く人もふくむ。転職後の賃金が前の会社より「増加」した人は40.8%、「減少」は31.0%。転職入職者=入職前の1年間にはたらいた経験のある人。常用労働者5人以上の事業所が対象。ほかの記事で使った総務省「労働力調査」の転職者数とは、数え方がちがう。2026年10月17日確認
→ 概況のPDF・目次のページ
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doda「転職求人倍率レポート」2026年9月17日発表
2026年8月の転職求人倍率は2.86倍。求人数(採用予定人員)をdodaの会員登録者(転職希望者)の数で割った数字。求人数は前年同月比18.7%増、転職希望者数は0.3%増。2026年10月17日確認
→ レポートのページ -
doda「転職求人倍率レポート(2024年3月)」2024年4月18日発表
2024年3月の転職求人倍率は2.77倍。2026年10月17日確認
→ 2024年3月分のページ -
doda「転職求人倍率レポート(データ)」
2020年8月の転職求人倍率は1.18倍、2026年8月は2.86倍。2026年8月の職種別は、営業3.14倍、事務・アシスタント0.65倍。本文では「10人に約12件」「約29件」「約31件」「約7件」と書いた。厚生労働省の有効求人倍率(ハローワーク)とは、数えている人も求人もちがう。職種別の転職希望者は、希望する職種ではなく、いまの仕事の職種で数えている。2026年10月19日確認
→ データのページ
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厚生労働省「令和7年版 労働経済の分析(労働経済白書)」2025年9月30日公表、第Ⅱ部第3章
約71%の企業が事業を続けるための人手に、約73%が新しい事業のための人手に不足を感じている。中途採用に力を入れ、求人募集時の賃金を引き上げる動きも書かれている。2026年10月18日確認
→ 第Ⅱ部第3章のページ -
リクルートワークス研究所「中途採用実態調査(2025年度実績、正規社員)」2026年6月12日
2025年度に中途採用で正社員になった人のうち、未経験者は31.9%。従業員5人以上の民間企業8,200社に聞き、3,933社から回答。2026年10月17日確認
→ 調査結果のPDF -
株式会社マイナビ「中途採用実態調査2026年版」2026年9月28日公開
2026年7月に、中途採用にかかわる人事担当者1,600件に聞いた調査。企業は即戦力を重視しつつ、成長意欲やポテンシャルにも目を向けている、とまとめている。2026年10月18日確認
→ 調査のページ
- 株式会社マイナビ「転職動向調査2026年版(2025年実績)」2026年3月23日公開
2025年に転職した正社員1,446人に聞いた調査。52.6%が、前の会社で自分のキャリアに停滞感を感じていた。2026年10月18日確認
→ 調査のページ






